アンタッチャブル“切れ味倍増”復活が大盛り上がりした背景

 2004年のM―1王者、漫才コンビ「アンタッチャブル」が、10年ぶりに復活して話題になっている。ボケの“ザキヤマ”こと山崎弘也(43)とツッコミの柴田英嗣(44)のコンビ。先月29日放送の「全力!脱力タイムズ」(フジテレビ系)でサプライズ復活したのに続いて、8日放送の「THE MANZAI2019」(同)では、人気漫才師23組の1組として、新作漫才を披露した。

 テーマは「神対応」。冒頭に「ザキヤマが~ザ・マンザイに~くる~」から矢継ぎ早にボケ倒す山崎。柴田は、頭を叩いたり、腕をひっぱったり、あきれてじだんだを踏んだり、こちらもトップギアで突っ込んでいく。途中、柴田が「まずは皆さんにご挨拶しないといけないんじゃないの。10年ぶりなんだし!」と言うと、山崎は「ええ、ファンキーでモンキーでベイビーなことがありまして!」「ベイビーも大変で」と柴田の不倫ネタをイジった。

■囁かれていた“不仲説”

 同番組の平均視聴率は13・9%。アンタッチャブルがネタを始めた場面は16・5%で瞬間最高視聴率を獲得した(関東地区・ビデオリサーチ調べ)。「番組最高顧問」のビートたけしは「うれしいんだろうね。ブランクがあるからお客さんを探っているんだけどウケた時のうれしさはすごい。やっぱり面白いね」と2人を絶賛。SNS上でも復活を喜ぶ声が相次いだ。お笑い評論家のラリー遠田氏はこう話す。

「10年間のブランクを全く感じさせない切れ味でした。徹底してボケ倒す山崎さんに一歩も引かずにツッコミまくる柴田さん。ものすごいパワーでした。基本的な話の筋は決まっていたとしても、相当アドリブが入っていると思います。ファンの方はこの瞬間を心待ちにしていたでしょうね」

 アンタッチャブルは、01年の「M―1グランプリ」スタート以来、関東勢で初めての王者。吉本興業を中心とした関西の漫才師に対して、一歩も引けを取らない実力派コンビだった。

 しかし10年に柴田が活動休止。女性トラブルが原因とされていた。その後、山崎はピンでも人気者になり、柴田も活動を再開させていたが、コンビでの活動はなかった。

「復活がこれだけ盛り上がった背景には、山崎さんが柴田さんのことをどう思っているのか一切口にしていなかったことがあります。“不仲説”も根強く囁かれていました。しかし今回のような漫才を見せつけられると、そんなモヤモヤした思いは一気に吹き飛んでしまった人が多いと思います。コンビ時代の活躍を知らない若い視聴者も含めて、“すごく面白い”と単純に思った人がほとんどではないでしょうか」(ラリー遠田氏)

 復活後、柴田はラジオ番組で、活動休止中も2カ月に1度、長い時で半年に1度程度は山崎と会っていたことを明かしている。年末年始の演芸番組が増える絶妙のタイミング。雨降って地が固まったコンビの活躍に期待だ。