BPO、読売テレビ「ten.」の男女の性別聞く企画に「放送倫理違反あった」

引用元:スポーツ報知

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は10日、都内で会見し、審議入りしていた読売テレビの「かんさい情報ネット ten.」(月~金曜・後4時47分)のコーナー「迷ってナンボ! 大阪・夜の十三」に関して放送倫理違反があったと判断した。

 当該のコーナーは今年5月10日に放送された。大阪市内の商店街を歩くロケにおいて、飲食店店員の「性別が分からない常連客がいる」という声を取り上げ、男性お笑いコンビが常連客に性別を質問した他、体に触ったり、保険証の性別欄を確認したりした。放送直後に、男性コメンテーターから「許しがたい人権感覚の欠如」「よく平気で放送できるね」などと厳しい叱責が飛び、同局は翌週に不適切な取材があったと謝罪した。

 同委員会は番組関係者にヒアリングを実施。こういった問題が起こった背景について、撮影チームの個々人がLGBTについての知識や問題意識を持ち合わせていなかったこと、編集過程において編集作業の分業が進み、意見交換し違和感を共有する場がなかったこと、複数の目によるチェック体制が崩壊していたことなどによって引き起こされたと考察した。

 同委員会は「特に性的少数者の人権や当事者の社会的困難への配慮が課題として議論されている時代に、もっとも感性が鋭敏であるべき放送が、著しく配慮を欠くやりとりを放送した点で看過できない問題がある」と指摘。日本民間放送連盟(民放連)の放送基準「(3)個人情報の取り扱いには十分注意し、プライバシーを侵すような取り扱いはしない」に反しており、「人権の尊重」と「報道における表現は、節度と品位をもって行わなければならない」と求める民放連の報道指針に反する放送倫理違反があったと判断した。

報知新聞社