古き良き名機、 “最強”「ソ連軍戦車」と“最高の航空機”「トムキャット」がモデラーに与えた影響力

引用元:オリコン
古き良き名機、 “最強”「ソ連軍戦車」と“最高の航空機”「トムキャット」がモデラーに与えた影響力

 60余年の歴史を持つ国産プラモデルにおいて、黎明期から現在に至るまで、その歴史を支えてきたのは戦車・艦船・航空機といったスケールモデル(※縮尺にもとづいて忠実に再現した模型)だ。中でも第二次世界大戦で活躍したソ連軍戦車と、映画『トップガン』でも活躍し、“最高の航空機”との呼び声もある「F-14トムキャット」は今なお根強い人気を誇っている。そこで今回、ソ連軍戦車に魅せられた佐藤児輝氏(luu03@Luu03_models)と、2003年のイラク戦争の際「イラクの自由作戦」に参加したトムキャットを制作したスギモトカステン氏(@kuromedakaf14)に、新しい技法に挑戦する理由や、“古き良き名機”を作る理由について聞いた。

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■戦車の歴史を学べば“思い切った作業”ができる(佐藤児輝)

 航空機、戦車、艦船など豊富なジャンルを持つスケールモデルにおいて、「戦車が一番好き」だと語る佐藤氏。その理由は「技法の種類がとても多いのと、塗装技術の発展がとても速いので、常に新しい方法を学ぶ事が出来ておもしろいからです。あと裏面を塗らなくてもよいという点でしょうか」と笑った。

 そんな佐藤氏の代表作、ソ連の自走砲JSU-152についてコンセプトを聞くと「鮮やかさと汚れの両立」と回答した。鮮やかさの要素としては、緑の車体に対してソビエト国旗の赤と黄を差し色として入れることで地味な印象にならないよう演出。また鮮やかさと汚れを両立するためにグラデーションを強めに掛けたとのこと。

 塗装に関する“こだわり”を隠さない佐藤氏だが、特に「塗装の明度と彩度の調整」については精力を注いだようだ。それは「どれだけウェザリングやフィルタリングを丁寧にしたとしても、車体がそのせいで暗い見た目になってしまったら意味がないため」だ。さらにキットの見栄えが悪くなることを回避するため、展示会の照明に近い暗さの環境で制作するなど工夫しているのだという。

 そして、塗装に関しては“戦車の歴史”について学ぶことも重要だと佐藤氏は強調する。

 「専門家の方ほど深くはありませんが、戦車に関して歴史を学んでいます。僕は歴史上のワンシーンを切り取ったジオラマ作品を作らないので、戦いよりも車両や塗装の変遷について調べて学ぶ事が多いです。学んでおけば防げる作業ミスは沢山あるので、しっかり調べるようにしています」

 主に第二次世界大戦下で活躍した戦車を制作するなかで、“歴史の学び”がプラモ制作に生きることは多いという。実際、「この時期は○○だから塗装はこうなるという確証が得られ、思い切って作業できる」と、“歴史を学ぶ効用”を教えてくれた。