窪田正孝主演『エール』モデルとなった作曲家・古関裕而とは?

引用元:オリコン
窪田正孝主演『エール』モデルとなった作曲家・古関裕而とは?

 30日からNHKで連続テレビ小説102作目『エール』(月~土 前8:00 総合ほか※土曜は1週間の振り返り)がスタートする。俳優の窪田正孝主演で本作が発表されたのは、昨年2月のこと。まさか放送が始まる頃、新型ウイルスの影響で世界中の人々の生活が一変しているなんて、誰も想像もしていなかったはずだ。

【場面写真】第1回(3月30日放送)より裕一と妻の音

 『エール』は、昭和を代表する作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ/1909年-1989年)さんと妻で歌手としても活躍した金子(きんこ/1930年-1980年)さんをモデルに、激動の昭和という時代、音楽で人と人とを結んで勇気づけたある夫婦の物語。

 そもそも同ドラマは、「東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年にふさわしい企画にしたい」「東日本大震災からまもなく10年となる福島を応援したい」という思いで題材を探すなか、1964年東京オリンピックの選手入場行進曲「オリンピック・マーチ」を作曲した、福島出身の古関さんに行き着いたという。

 福島市大町に生まれた古関さんは、昭和5(1930)年に日本コロムビアに作曲家として入社。以来、戦前、戦中、戦後と、数多の曲を作り続けた。その数、なんと5000曲。戦前においては「露営の歌」(1937年)、「暁に祈る」(40年)等の名曲を残し、戦後の荒廃した社会の中にあっては「とんがり帽子」「長崎の鐘」といった未来へ希望を抱かせる明るい歌謡作品を世に送り出した。

 劇作家・作詞家の菊田一夫さん(1908年-1973年)とのコンビで放送作品にも力をそそぎ、NHKラジオドラマ『鐘の鳴る丘』『さくらんぼ大将』『君の名は』等の主題歌、映画『モスラ』の劇中歌「モスラの歌」(1978年)など、誰もが口ずさめるヒット歌謡も連発。

 「オリンピック・マーチ」のほかにも、「栄冠は君に輝く(全国高等学校野球大会の歌)」「六甲おろし(阪神タイガースの歌)」「闘魂こめて(巨人軍の歌)」といったスポーツシーンを彩る曲や、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学などの応援歌、全国各学校の校歌も多数手がけている。こうした功績によって1969年には紫綬褒章を受章している。

■『エール』はどんなドラマになるの?

 モデルとなる古関さんは作曲家としての才能に恵まれていただけでなく、その人生も劇的だった。「古関さんの実話を拾っていくだけでも、本当におもしろい」(制作統括・土屋勝裕チーフプロデューサー)という。ドラマでは、登場人物名や団体名などは一部改称。福島で代々続く老舗呉服屋の長男として生まれた主人公・古山裕一(こやま・ゆういち=窪田)の子ども時代から、ヒロインの関内音(せきうち・おと=二階堂ふみ)との結婚を経て、戦前・戦中・戦後にまたがる裕一の作曲家人生をフィクションとして描いていく。

 第1回では、昭和39(1964)年10月10日、東京オリンピックの開会式の日が描かれる。放送期間中に開催されるはずだった56年ぶりの東京オリンピック・パラリンピックは、史上初めて1年ほどの延期が決定。感染症の拡大を防止するため、多くの人が集まるスポーツ・文化イベントは開催できず、卒業式で校歌などを歌うこともできなかった。

 モデルとなった古関さんは、人にエールを送る“応援歌”を多く残した。感染症の影響で演奏会を開けなかったり、歌えなかったりしている今、先の見えない不安の渦中、これまでとは違った暮らしに適応して頑張っていくしかない私たちに、このドラマが文字どおり「声援」「励まし」となってくれることを期待してならない。