【スカーレット】伊藤健太郎「武志はたぶん一生、僕の中にいる」

引用元:オリコン
【スカーレット】伊藤健太郎「武志はたぶん一生、僕の中にいる」

 NHKで放送中の連続テレビ小説『スカーレット』が28日、最終回を迎えた。この日、公式ホームページに川原武志役で出演した伊藤健太郎の特集記事(インタビュー)がアップされた。病気と闘う武志をどのように演じたか、もし自分が武志と同じ状況だったら…など、伊藤自身も生きること向き合い続けた撮影の日々を語っている。

【写真】『スカーレット』最終週・武志の名場面

 ヒロイン・川原喜美子(戸田恵梨香)の長男・武志役を子役たちから引き継ぎ、高校時代以降を演じた伊藤。最後のシーンの撮影を終えた感想として、「ふだん僕は、あまり役を引きずるタイプではないのですが、武志に関しては無意識のうちに自分の中にいて、ほかの現場に行ってもどこか頭の片隅には絶対武志がいるという状態だったので、あしたから武志のことばを発することがないと思うと、やっぱりすごく寂しいです」と、話している。

 京都の美大で陶芸を学び、卒業後は信楽の窯業研究所に通って陶芸家を目指していた武志は、次世代展に応募する亜鉛結晶釉の大皿を完成させて、これからという時に慢性骨髄性白血病を患い、余命宣告を受けてしまう。それでも、人を恨むことなく、自暴自棄にもならず、周りへの思いやりを忘れずに過ごしていった武志。

 そんな武志を演じて伊藤は「武志を演じていくうちに、どんどん愛着が湧いていって、すごく思い入れのある役になったんですよね。武志と同じ病気で亡くなった方は実際にいらっしゃるので、どの役でもそうなのですが、中途半端にはやれないという思いがあって、自分の中で武志を演じる上での気合いみたいなものがすごくあったんです」と、秘めた思いも明かしている。

 役づくりとしては「外見的には食事制限をしたりしましたが、内面的な部分で言うと、武志がしんどいときは本当にしんどいように演じました。武志の闘病生活の部分はあまりたくさん描かれてはいませんでしたが、髪の毛が抜けてしまったり、熱が出て寝込んでしまったり、シーンとしては数が少ないからこそ、武志が病気と向き合わないといけないときは思いっきり向き合おうと思いました。見ている方にも武志の闘病に寄り添ってもらいたいなと思ったんです。朝からそういった部分を描きすぎるのはつらい、というのもよくわかるのですが、やっぱり武志が生きた証しでもありますし、とても大事な部分だと思ったからです」と、語っている。

 武志の境遇を自分に置き換えて、ほぼ毎日のように考えていたという。「もし今、自分が武志のような状況になったら、家族や友達、大切な人たちに対してどんな態度を取るのだろうか、果たして武志みたいに強くいられるのだろうか、ということを寝る前に毎日毎日考えました。やっぱり自分が経験したことではないのであくまで想像でしかなかったのが、不思議なことに武志のことばを発しているうちに本当に経験したような気持ちになってきて、お父ちゃん(八郎・松下洸平)やお母ちゃん、(友人の)大輔(七瀬公)や学(大江晋平)、みんながかけてくれることばがブスブスと心に刺さって、素直に心が揺れたり、うれしくなったり、悲しくなったりしました。そういう意味では想像の域を少し超えられたのかなと思っています」

 本作が初めての連続テレビ小説への出演となった伊藤は「武志はたぶん一生、僕の中にいると思います。それぐらい責任を感じて演じさせてもらいました。皆さんのそれぞれの胸の中でも武志の生きた証しを思い返していただければうれしいです」と、視聴者に呼びかけていた。