ザク、グフ、ドム…量産型を駆る男たちの挽歌「ランバ・ラルやガデムが見せた“生き様”」

引用元:オリコン
ザク、グフ、ドム…量産型を駆る男たちの挽歌「ランバ・ラルやガデムが見せた“生き様”」

 40年余の歴史を持つ『機動戦士ガンダム』シリーズにおいて、主役機に負けず劣らずの人気を誇っているのがザクやドムといった量産型MSだ。“ヤラレ役”として不遇な目にあう量産型MSだが、モデラーたちはそのどこに魅力を感じているのか…?グフ、ザク、ドムが一堂に会した「幻のランバ・ラル隊」を制作したスギモトカステン氏(@kuromedakaf14)と、ジャブロー侵攻作戦に参加した旧ザクを制作したピロセピロシ氏(@archidelic02)に、量産型MSを駆る“ジオン兵の魅力”について聞いた。
      
■MSだけではなく、その他大勢の“生身の人間”を表現(スギモトカステン)

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 スギモトカステン氏が制作したジオラマ作品「ランバ・ラル隊とその支援部隊」は、青い巨星ランバ・ラルに十全な補給がなされていたら…?というif設定を立体化したもの。同氏に制作におけるコンセプトを聞いた。

 「元々、2018年の千葉しぼり展示会の時は、マゼラアタック、キュイ、ワッパとフィギュアだけの作品でした。この時はあえてモビルスーツ無しで戦闘車輌とフィギュアだけでランバ・ラル隊を再現したんです。それが評価されてWildRiver荒川直人さんの『荒川賞』をいただきました。その時に荒川さんからの副賞として、『荒川さんの作ったヤシの木を使ってランバ・ラル隊のジオラマを完成させる』という次の展示会の課題が出来たんです。そこで、ラル隊に十分な補給があったと仮定したジオラマを制作しました」

 本作で一番表現したかったものについて聞くと、「宇宙世紀でも移動には十分な食料などの補給物資が必要です。全員がMSに乗るわけではなく、大勢の生身の人間によって運営されているということを表現したいと思いました」と、本作のテーマを教えてくれた。実際、本作からは“生身の兵士”の息遣いが聞こえてくる。

 その「一番こだわった部分」と語る、マゼラアタック、キュイ、ワッパなどに乗っているジオン兵のフィギュアは50人以上制作したとのこと。マゼラアタックはイラク戦争でバクダッド進攻に使用されたアメリカ主力戦車のエイブラムスのイメージで制作。そして、ジェリカン(燃料容器)、飲み物、ダンボール箱、クーラーボックスなど、生活必需品の荷物に至るまで再現されている。

 そんな50人のジオン兵はそれぞれポーズが異なる。「ジオン兵は、アメリカ兵直立ポーズのフィギュアを切り刻んでポージングを変え、ヘルメットもジオン兵用に改造しました」と、力作となったジオン兵について説明してくれた。また、上を見上げているフィギュアがあったため全員パーソナルジェットを背中につけてヘルメットを作成、ファーストガンダム第20話『死闘!ホワイト・ベース』に登場するキュイ揚兵戦車部隊を再現している点も見逃せない。

 このように、日々“妄想の具現化”を楽しむスギトモト氏に今後の制作プランを聞いた。

 「大河原邦男さんがMSV-Rという新しいバリエーションを描いているので、その辺りを作っていきたいと思います。あとは、やはりパーフェクトガンダムですね。それと、これまで砂漠のジオラマが続いているので市街戦なども作ってみたいです」