『攻殻機動隊』と能の組み合わせに能楽師たちも意欲満々!

『攻殻機動隊』と能の組み合わせに能楽師たちも意欲満々!

 VR能『攻殻機動隊』プレ上映舞台あいさつが26日、都内で行われ、観世流能楽師の坂口貴信、川口晃平、谷本健吾、大島輝久、演出を務める奥秀太郎監督、映像を担当する福地健太郎・明治大学教授、稲見昌彦・東京大学教授が出席。伝統芸能と最新技術が融合したVR能の魅力を語り合った。

【写真】公演に先駆け一部上演 VR能『攻殻機動隊』の様子

 VR能『攻殻機動隊』は、さまざまな最先端技術を駆使して仮想現実空間を再現し上演される能舞台で、日本が世界に誇るSF漫画の最高傑作『攻殻機動隊』を能で表現したもの。

 プレ上演では、川口の舞いと能面が、VRで描く映像と融合し、幻想的な世界観が表現されたが、川口は「能はイマジネーションの芸術、『攻殻機動隊』という物語と融合することで、より先鋭的な表現ができると思います」と上演への期待を煽る。

 前作の3D能でも奥監督とタッグを組んだ坂口は「これまでは能にある演目を現代の技術でどうやって分かりやすく伝えるかということに注力してきましたが、この度は能の枠を超えて、作品を新たに作るというチャレンジになります。しかも題材が古典ではなく『攻殻機動隊』という世界中にファンのいるアニメ。能を観たことがない人の視点に立って、舞台を作っていけたらと思っています」と意気込みを語っていた。

 現代のVR技術と、アニメ界に衝撃を巻き起こした『攻殻機動隊』、さらに700年前の能との融合。チャレンジングな試みのため谷本は「どう融合していくのか、もしかしたら喧嘩をしてしまうのか……やってみないと分からないところがあります」と正直な胸の内を明かしていたが、大島は「私たちがやっている伝統芸能は制約が多いなかで、どれだけ自分たちの体に落とし込めるかという稽古を行うのですが、今回の舞台は制約がない。そのなかでどんなものができるか、大きなチャレンジです」と気を引き締めていた。

 奥監督は「『攻殻機動隊』は僕にとってバイブルのような作品」と思い入れが強いことを明かすと「脳しか残らなかった草薙素子という原作のモチーフが、能の世界と親和性があるのかなと感じました」と能と『攻殻機動隊』の組み合わせの妙味を語っていた。

 VR能『攻殻機動隊』は、8月21日~23日まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演。