「あの若さで何者?」伊藤健太郎の朝ドラ演技に反響、”売れたい…”宿し続けた野心を役柄に昇華

引用元:オリコン
「あの若さで何者?」伊藤健太郎の朝ドラ演技に反響、”売れたい…”宿し続けた野心を役柄に昇華

 朝の連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)のヒロイン・戸田恵梨香の息子役で、白血病と診断されて余命宣告に葛藤しながら闘病する…という“難役”に挑んでいる伊藤健太郎(22)。「なんとか助かって」、「このところ毎日泣いてる」、「伊藤健太郎と武志がリンクしてしまう…」など視聴者から多くの反響が集まり、朝ドラ視聴世代のハートをしっかりとつかんでいる。一方、『伊藤健太郎のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)のパーソナリティを務めるなど、10代20代からの支持も厚い。若手俳優の中でも一歩抜きんでた立ち位置を確立しながら、すでに“最重要人物”となりつつある伊藤健太郎の魅力とは?

【スカーレット写真】「生かしたる…」母役の戸田恵梨香にガシッと頬をつかまれる伊藤健太郎

■圧倒的なヒロイン戸田恵梨香に呼応する“高い演技力”に反響

 物語のクライマックスへと差し掛かった『スカーレット』では、母の戸田に自分が白血病であることを告げられ、「生かしたる」とほっぺたをつかまれた瞬間、子どもの表情に戻り、絶妙なタイミングで涙を浮かべる…という伊藤の演技が話題に。「もはやあれは演技ではない」、「伊藤健太郎えげつない」、「戸田恵梨香との見事な化学反応」などと大反響を呼んだ。

 145話(3月23日放送)では、母の戸田に「お母ちゃん、俺もう、終わりじゃない……。生きていたい。生きていたい……」と泣きながら心境を吐露。病への不安や悲しみ、陶芸に対する情熱など、これまでは感情を抑えた演技で見事表現していた伊藤が、ようやく感情をあらわにするシーンが放送された。涙を流す伊藤の演技が光っていた145話は平均視聴率20・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。圧倒的な朝ドラヒロインを演じる戸田に懸命に食らいついていく伊藤の演技は、日本中の視聴者に認められたようだ。

 そんな伊藤のもう一つの顔といえば、やはり2018年放送の代表作『今日から俺は』(日本テレビ系)のウニ頭の硬派ツッパリ・伊藤真司役だろう。正直、一般層からは(三橋役の賀来賢人はわかるが、伊藤役の伊藤健太郎って?)という印象もあったはず。そもそも原作自体、30年ほど前のコメディヤンキーマンガであり、そのままの時代設定でドラマ化するのはいかがなものか?と心配する声もあった。

 ところが放送が始まると、ヤンキーを知らない現代の子どもたちにも受け入れられ、大ブレイク。伊藤も原作通りの熱い男を演じ、彼女役の橋本環奈との絡みでは“赤ちゃん言葉”を使って、デレデレなバカップルぶりを披露。その振り切った“ダダこね演技”に免疫がなかった視聴者層を圧倒したのである。

■「売れてぇな……」俳優としての野心をのぞかせる一面も

 この流れを見ていると、順風満帆のシンデレラボーイとの印象が強い伊藤だが、実はデビューは2012年、今年で8年目というベテラン。当初はkentaro名義でモデル活動をしていたが、2014年のドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)から健太郎名義で役者デビュー。主役級の出演が増えたのは2017年。戦国時代を舞台にしたラブコメディ『アシガール』(NHK総合)では、容姿端麗・眉目秀麗な戦国大名の跡取りを演じて反響を呼び、いまだ当時の役柄の愛称“若君”で呼ばれることも。同年、初主演映画『デメキン』(バッドボーイズ佐田の半生を綴った漫画が原作)も公開され、少しずつ知名度を上げながら前述の『今日から俺は』の大ブレイクへと繋がっていったのだ。

 バラエティや情報番組などに出演することも多くなった近年は、内に秘めた“野心”をちらつかせるエピソードが垣間見えるように。先月2月21日放送『あさイチ』(NHK総合)では、中学のころ周囲がピアスを開け始めて自分も開けたくなったが、姉から「将来朝ドラに出るとき、それが不利になるからやめとこう」といわれ、素直に諦めたという“プロ根性”あふれるエピソードを披露した。また、『伊藤健太郎のオールナイトニッポン0(ZERO)』に親友の北村匠海を招いた際は、2016年放送のドラマ『仰げば尊し』(TBS系)で共演したとき、帰りのバス内で「ふたりで売れてぇな……」と語り合ったことを告白。

 「一発当てたい」「俺を見ろ!」と出演者たちからの圧がすごかったと監督が漏らしてしまうほどギラギラしていた『今日から俺は』の現場でやっていけたことも、思わず納得させられる“野心”が伊藤にはしっかりとある。前へ前へと行かない(行けない)タイプが多い現代の若者の中で、目標実現のための欲や執着心を隠さない、特異な存在と言えるのではないか。