【コラム】世界が危機的な状況に陥っている今、『あつまれ どうぶつの森』は大切なことを教えてくれていた

引用元:IGN JAPAN
【コラム】世界が危機的な状況に陥っている今、『あつまれ どうぶつの森』は大切なことを教えてくれていた

新型コロナウイルスの影響で、世界がこんなに大変なことになるとは正直言って予想していませんでした。ゲーム業界もE3やGDCといった主なイベントはすべて中止あるいは延期になり、私たちIGN JAPANもテレワークで仕事をすることになりました。
日本はまだいい方で、オランダやフランスにいる僕の親戚はほぼ家から出られない状態みたいです。
多くの人が外へ出られない今、もちろんゲームをして時間を過ごす人も増えているはずです。僕は元々ゲームライターなのでいつもと変わりませんが、周りにも久々にゲームをしているという人が結構いますね。『あつまれ どうぶつの森』に夢中になっている人が特に多いみたいです。

「あつまれ どうぶつの森」画像・動画ギャラリー

思うのですが、こんな状況にこれほどふさわしいゲームは他にないのではないのでしょうか。もちろん、『あつまれ どうぶつの森』と同日に発売した『DOOM Eternal』でも、体験版が配信されたばかりの『バイオハザード RE:3』でも、外出を許されていない人にとってはどんなゲームだって立派な癒やしになると思います。何も可愛らしい動物の出てくる非暴力的なゲームである必要はありません。
でも『あつまれ どうぶつの森』はただ可愛い動物が出てくるだけのゲームではなく、素晴らしい何かを教えてくれるゲームだと思います。
無人島に引っ越して、最初は少ない住民と共に自然に囲まれた生活を始めます。風と波の音に耳を澄まして、木の枝や雑草を集めたり、魚を釣ったり網で虫を捕まえたりするだけで、なんだか幸せを感じるちょっと不思議なゲームです。

新型コロナウイルスで外出が制限された地域では、空気や水が綺麗になっているという話を聞きますが、『あつまれ どうぶつの森』をプレイしていると自然の美しさを再認識できますね。こういうときだから余計にそう感じている部分も少なからずあると思いますが、人間はこれを機にもう少し自然に優しい暮らしを始めるべきなのかもしれないと、『あつまれ どうぶつの森』でチューリップなんかを植えながら割と本格的に思ったりします。普段は環境問題などに目を向けない僕が、そのように感じています。

ところで、そもそも「どうぶつの森」って何についてのゲームだと思います? もちろん、そこに明白な答えはなく、自分の家のインテリアに力を入れる人もいれば、魚や虫に化石を集めて立派な博物館を作りたい人もいます。それこそ、現実世界と同じように、目指したいものはプレイヤーによって違うのだと思います。それでも、『あつまれ どうぶつの森』でできることはどれも現実世界とすごく近いような気がします。隣人のどうぶつたちとの短い会話を楽しんだり、近くの商店で買い物に行ったり、釣りをしたり、ちょっとした人助けをしたりと、どれも極めて日常的な活動ですよね。

今、世界の多くの地域で、人々はそういった当たり前の日常を奪われて生活しています。極力外に出ず、人との接触も可能な限り避けなければなりません。感染の拡大を止めるのに仕方のないことではありますが、これはとても悲しいことだと思います。
最近、3歳児の双子の娘に、「今日は遊園地へ行けないよ」のようなことを話すと、「コロナウイルスだから?」と聞き返してきます。そう、3歳児でもわかるんです。彼女たちは家の中で過ごす時間が多くなって、外でお友達と遊ぶ楽しさを忘れてしまうんじゃないかとちょっと心配になっちゃいます。

そんなときに『あつまれ どうぶつの森』を起動すると、楽しそうに笑ったり、驚いたり、照れたりするどうぶつたちを見て、思わず笑顔になる娘たちを見ていると、なんだか安心します。
どうぶつたちの家に遊びに行っても、やることはそんなにないのかもしれません。でも、家を出るとニコッと笑って手を振ってくれるちょっとした仕草に、人付き合いの心地よさみたいなものが詰まっているのではないでしょうか。

ゲームを進めるとこちらもいろんなジェスチャーを覚えられるようになります 。 どうぶつたちの前で驚いた表情を見せたり、パチパチと手を叩いたりするとちゃんと反応してくれます 。 魚や虫を捕まえるときにどうぶつたちが近くにいると、今度は彼らが喜んでくれます 。 大自然の中で暮らし、人と人の繋がりを感じてくれるそんな素敵なゲームがこんなときに出てくれて、本当によかったと思います 。