majiko「陰も陽も知って新次元へ」新譜の裏にある自身の内的な確信:インタビュー

引用元:MusicVoice
majiko「陰も陽も知って新次元へ」新譜の裏にある自身の内的な確信:インタビュー

 シンガーソングライターのmajikoが3月4日、EP『MAJIGEN』をリリースした。中国と台湾へのワンマンツアーを経て、自身の内側に変革を感じたという彼女。今作に収録された5曲は、どれも個性的なものばかり。大胆にフェイスラインを露わにしたアートワークも、新たな局面に踏み込んだことを象徴している。そのmajikoに新作の内情や心境の変化について話を聞いた。【取材=小池直也】 majiko「陰も陽も知って新次元へ」新譜の裏にある自身の内的な確信:インタビュー 『MAJIGEN』初回盤ジャケ写

内面の変化とは

――まずは昨年の中国ツアー『majiko PRESENTS “寂しい人が一番偉いんだ” RELEASE TOUR ~SALUTE YOUR LONELINESS~ in CHINA』について聞かせてください。どんな経緯で行かれたんですか。

 私の友人である歌い手・Mesちゃんが「中国でワンマンツアーやらない?」と誘ってくれたんです。「マジで!?」と、それからスタッフさんとも話をして決まりました。中国には歌い手時代の頃から何回か行ってますし、「狂おしいほど僕には美しい」のミュージックビデオ撮影でも上海に行ってたこともあってか、たくさんの方が来てくれました。ニコニコ動画で知って、調べてくれた方々だと思います。本当にありがたいですよね。ご飯も美味しいし最高。

――反応はいかがでした?

 会場は9割以上が中国の方でしたけど「こんなに盛り上がる?」というくらい大盛況で驚きました。尋常じゃなかったです。怒号じゃないですけど、なんか「まじこおお!」みたいな(笑)。歌も一緒に歌ってくれて大合唱でした。

 ボカロの曲の方が盛り上がれるかなと思って、セットリストにも織り交ぜていたんですけど、結局オリジナル曲が、中でも「狂おしいほど僕には美しい」が一番盛り上がりました。MCでタイトルを言っただけで「ギャー」ってなりました。そんなにみんなが歌うんだったら、とマイクをオーディエンスに向けたのは初めてです。

――中国メディアでのインタビュー動画も拝見しました。ご自身のお母さまについて、率直に語られていたのが印象に残っています。

 これまで話すことが少なかったですが、母のことはめちゃくちゃ尊敬しています。亡くなってから5年経ち、乗り越えてフラットに話せるようになりました。母であり、師匠であり、親友でもあったので。母のような人間になりたいなという、あこがれです。

――それでは新作『MAJIGEN』について教えてください。タイトルに込められた想いは?

 「majiko×新次元」みたいな、カッコつけた名前です。去年のLIQUIDROOM公演のチケット完売や中国、台湾のワンマンを経て、自分のなかで革新的に何かが変わっているのを感じていました。そこで「新次元に踏み出したい」というテーマが根底にあったので、このタイトルにしました。

――その内面の変化とは具体的に言うと?

 たぶん自信だと思います。ここまで歌ってきたし、曲も作ってきた。さらに国内だけじゃなく、中国や台湾のお客さんからも力をもらって「いざ!」という気持ちになれたんです。あとは陰も陽も知っている方が幅広く曲を作れて、幅広く経験を言葉にできるんだなと感じています。もともと私は陰で、今も陽ではないかもしれませんが、少しでも笑うようにしたいと思ってますね。そこは昔と変わったのかなと。

――なるほど。

 だから「エスカルゴ」のMVでは顔を出して、モヒカンにしてみました。私の髪の毛はすごい柔らかいので、サイドをジェルで固めて、トップを逆立てるんですよ。着ぐるみをかぶってもつぶれなかったので、さすがメイクさんだなと(笑)。今まで顔はコンプレックスだらけだったんです。それをあえて出してみたら、気付かなかった自分を発見できました。

 特に表情ですね。フェイスラインとかも隠しがちだったので、髪を上げた自分は美容院かお風呂でしか見ることがないじゃないですか。今回「見せるぞ」という覚悟でバッチリ決めたら「思っていたよりもマシだな」って(笑)。

――いえいえ、すごくクールですよ。

 ありがとうございます。前から「majikoさんって女装した男みたい」って言う人がいて。別に傷付きはしなかったですけど「そんなに?」という気持ちが湧いたので、今回はどこまで自分が男前なのかを見てみたかったんです。それで映像の自分を実際に見てみたら「本当に男前だったね」って(笑)。

 短期間であそこまで作ってくださった、監督の加藤マニさんは天才です。