【ネタバレあり】『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』レビュー:今だからこそ見に行きたい、とにかく楽しいアクション映画!

【ネタバレあり】『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』レビュー:今だからこそ見に行きたい、とにかく楽しいアクション映画!

「スーパーマン」や「バットマン」でおなじみのDCコミックスの人気ヴィラン、ハーレイ・クインを主人公に据えた新作映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』。

ハーレイがジョーカーと別れたところから始まるお話だけど、昨年の話題作でアカデミー賞も受賞した『ジョーカー』とは繋がりがない立ち位置の作品なんですが、まぁこれがめちゃくちゃに面白かった!

今回はそんな『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』をレビューします。ラストまでは踏み込まない内容ですが、ストーリーやキャラクターには触れるので気になる方はお気をつけください。

シンプルなストーリーと各方面でハイレベルな作品

さてさて、まずはストーリーですが、ジョーカーとついに別れたハーレイ・クインが因縁の深い犯罪王ブラックマスクことローマン・シオニスに捕まって、ダイアモンドを盗んだスリの少女カサンドラを追わされることに。

そして、その中でシオニスのクラブで歌手をしているブラックキャナリー、シオニスの手下を殺す謎の暗殺者ハントレス、シオニスを追う刑事レニー・モントーヤと出会い、事態は思わぬ方向に転がっていくという展開。

そんなわけでストーリー自体はシンプルなのですが、序盤はハーレイ・クインが独特の語り口で物語を説明している形式で時系列が前後している構成で、ともすれば見づらい映画になっていたと思うのですが、絶妙な編集のおかげでテンポも良くってすごく面白い。

編集もさることながら、絵面としても超かっこいいシーンがたくさんあって脚本も撮影&プロダクションデザインも編集などなど制作面のレベルが凄く高い。監督のキャシー・ヤン監督はこれでまだ長編映画が二作目の新進気鋭監督なのですが、その才能をバッチリと発揮していますね。

音楽では、有名女性アーティストを起用し劇中でかかる曲はすべて女性アーティストによるもの。どれも非常に印象的で、パワフルな女性主人公映画である今作にマジでピッタリ。劇場を出たらすぐサントラが聞きたくなるタイプの映画ですよ!

ちなみに、今作はハーレイ・クインの映画初登場作『スーサイド・スクワッド』で描写された彼女の生い立ちと、元カレであるジョーカーには言及するものの、基本的にはまったく関係のないお話。なので、まっさらな状態で見られる作品。

そして改めて言っておきますが、この世界のジョーカーとホアキン・フェニックス版のジョーカーは元がDCコミックスのジョーカーであるだけでまったく関係ありません。そういうもんなのです。

さらに今作のアクションシーンには『ジョン・ウィック』のチャド・スタエルスキ監督と『アトミック・ブロンド』のデヴィッド・リーチ監督の二人が創設したスタント会社「87eleven Action Design」が関わり、スタエルスキ監督も一部シーンの撮影を行なっているので、アクションがかなり良い。

DCコミックスの作品ではあるものの登場人物はほぼ全員スーパーパワーを持っていませんが、『ジョン・ウィック』的なアイデアに溢れる凶器攻撃シーンも多く、マーゴット・ロビー(ハーレイ・クイン役)を始めとする役者のフィジカルの良さも存分に活かし、アクション目当てで見に行っても十分に満足できる作品となっています。なんというか『チャーリーズ・エンジェル』の現代的リメイク版という感じ(実際のリメイク版も公開中だけど)。

個人的に一番お気に入りなのは、バイク&カースタントのシーン。あれを含め、とにかくメイキングが見てみたいと思うようなスゴいシーンが盛りだくさんでしたね。

ただ、『ジョーカー』の次となるDCコミックス映画ということで、ああいう方面を期待していくと確実に面食らってしまうであろう、めちゃくちゃに軽くて明るい作品なのですが、だからといって映画として劣っているなんてことはなく、個人的にはこっちのほうがだいぶ好き。