素直に楽しめる音楽と恋愛ファンタジー! ジョージ・マイケルの歌で彩った映画「ラスト・クリスマス」

引用元:夕刊フジ

 12月。ラジオから流れるクリスマスソングは、ジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」、松任谷由実の「恋人はサンタクロース」など、世代によって刺さる楽曲は違うだろうが名曲ぞろいだ。かつての英人気デュオ、ワム!の「ラスト・クリスマス」も世代を超えて歌い継がれている。

 ワム!とジョージ・マイケルの歌で彩った映画「ラスト・クリスマス」が6日公開された。クリスマスまで残り20日…での初日。

 「公開のタイミングが遅いかな。欧米と違って日本の場合、クリスマスが過ぎれば“クリスマス的なもの”への関心が、ほぼゼロになりますからね」と映画ライターも首をひねる。「試写では注意書きが配られました。今回は、ネタバレ厳禁と『映画評解禁日』の指定でした」

 何をもって映画評とするかは分からないが、このプロモーション戦略が果たして映画のヒットにつながるのか。興行収入に多少の成果は現れる。

 映画の舞台はロンドン。クリスマスショップで働くケイト(エミリア・クラーク)は歌手になることを夢見て、オーディションを受けるが、結果はダメ。ある日、店の前で好青年トムと知り合う。落ち込むケイトを、公園やスケートリンクに連れ出すトム。それから2人は…となるが、ネタバレを避けるため、記述不可。ネタを事前に知ってしまっては、この映画は一気に味気なくなる。

 当初、恋愛一辺倒だったスクリーンに後半、病気のこと、イギリスが抱える移民問題や貧困問題、家族の中のLGBTなどが加わる。脚本に工夫が見られるが、問題を深掘りすることはない。その代わり音楽が素直に楽しめる、あり得ない設定のファンタジーとして描かれている。

 ちなみに脚本には女優、エマ・トンプソンの名前がクレジットされている。ケイトの母親としても登場し、東欧なまり(おそらく!)の英語で旧ユーゴスラビアからの移民役を演じている。キャリアもスキルも十分な名女優は60歳になった。

 3年前の2016年12月25日、ジョージ・マイケルは亡くなった。53歳。残されたヒット曲から、命の大切さ、生きるっていいよねというピュアなメッセージを持ったこのロマンティック・コメディーが生まれた。