『出没!アド街ック天国』放送25周年 “濃いスポット”探しのために2週間ロケハン

引用元:オリコン
『出没!アド街ック天国』放送25周年 “濃いスポット”探しのために2週間ロケハン

 今年4月に放送25周年を迎える『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)。“地域密着系都市型エンターテインメント”情報番組としてこれまでにさまざまな街を紹介してきた。変化の激しいテレビの世界で25年続くのは、しっかりと視聴者にコンセプトとブランドを植え付けられた証左だ。これだけ長く愛される番組の制作背景とは? プロデューサーを務める株式会社ハウフルスの増田君儀氏に聞いた。

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■ロケハン一回で靴がダメになることも

――ひとつの街を特集するのに、どれほどの制作期間がかかっているのでしょうか?

「約2ヶ月間ほどです。まず、スタッフは、ディレクター、そしてADの3
~4人体制で、2~3週間くらいロケハンを行います。その間、ずっと街歩きをしているので、靴が一足ダメになったっていう話もあるくらいです(笑)。その中で街の人とも仲良くなって情報を得たり、自分の目で見て『これを取りあげたらおもしろいんじゃないか』というのを探し出していく。その後2週間ほどの撮影に入り、仕上げの作業をするという流れです」

――その街の「ベスト20」を紹介していますが、地元の人も知らないんじゃないかというスポットも取り上げていますね。

「ネットで拾えるような情報もありますけど、実際に街を歩かないとわからないことってたくさんあるんです。一見すると普通の一軒家のような佇まいのお店にも勇気を出して入ってみると、外見からは想像がつかないような展開が待っていることがあります。そこが街歩きに時間を掛ける意義でもありますね」

――これだけ長く続けていると、紹介する「街選び」には頭を悩ませそうです。

「正直悩みます(笑)。毎回会議で1~2箇所、取材する街を決めていくのですが、『話題性』『王道』『タイミング』というものを考慮して、今観てもらいたいと考える“旬な街”を選ぶようにしています」

■アド街は言ってみれば“街の広告屋”なんです

――ゴールデンウィークなどの大型連休の前には東京を離れ、地方も積極的に特集されていますね。

「アド街は言ってみれば“街の広告屋”なので、季節も大きく関係してきます。春だと花が咲き誇る『房総』を特集したり、夏休み前は海沿いの街だったり、冬は温泉特集を観たいという視聴者のニーズも鑑みたりしています」

――面積が広いので、事前のロケ班も大変そうですね。

「地方は泊りがけで取材を行うことが多いですね。それこそ房総とか、埼玉でも秩父とかは。少しでもスタッフの負担が和らぐよう宿泊してもらって、より良いものを撮影してきてもらいたい。コスパは悪くなりますけど、よりリアルな情報を視聴者の方にお届けすることができるのかなと」

――ひとつの街を区間で分けて紹介しているのも面白い試みですよね。

「例えば東京・浅草だと全体を特集しようとすると、ベスト30にしろ、ベスト20にしろ、入るべき老舗とか有名店がありすぎて結果が似たような形になってしまうんです。だったらいっそ街を4月に放送する『浅草雷門』のように細かいエリアで区切って特集しちゃおうと。やっぱり『アド街ならでは』と視聴者に思ってもらえるものをお届けしたいので」

――『アド街』で隠れた人気演出と言えるのが、温泉で女性が入浴するシーン。以前はタオルを巻かずに入浴していたそうで。

「番組が始まった当初、2~3年は丸見えでしたね(笑)。僕も今考えると、よくやっていたなと思うんですけど、その時期まではギリギリ許されていたのかな。今でも温泉のシーンはありますけど、背景がキレイに映るようにと工夫をしています。エロティックから美に移行した感じですね」