「PCエンジン mini」発売記念! “小型化・遊べるタイトル数・サプライズ性”の3点で「メガドライブ ミニ」と比較してみた

引用元:インサイド
「PCエンジン mini」発売記念! “小型化・遊べるタイトル数・サプライズ性”の3点で「メガドライブ ミニ」と比較してみた

国内における黎明期のゲームブームといえば、アーケードで過熱した『インベーダー』ブームや、多くの家庭で盛り上がった「ファミコン」ブームなどが印象的です。特にファミコンのブームは、以後のゲーム市場にも大きな影響を与えました。

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しかし時間が経つと共に、新しいゲームハードが台頭を始め、群雄割拠の時代へと突入します。その口火を切ったハードのひとつ「PCエンジン」が、本日3月19日に復刻。小型化を果たし、数多くのゲームソフトを収録する「PCエンジン mini」が発売されました。

また、当時のPCエンジンと競い合った「メガドライブ」も、一足先となる2019年9月19日に、「メガドライブ ミニ」として登場。当時のライバルハードたちが、今度は復刻版という舞台で再び並び立ちました。

今回は、「PCエンジン mini」の発売を記念し、かつての好敵手同士が新たな形をとった「ミニ」同士の比較を通して、両ハードの魅力に迫りたいと思います。なお、それぞれ海外版も存在しますが、今回は国内版同士の比較です。

◆ミニと言えばやはり小型化! どれくらい小さくなったの?
「PCエンジン mini」と「メガドライブ ミニ」は、“HDMI端子による映像出力”、“映像出力 720P、480P”、“どこでもセーブ&ロードができる”など、基本機能の面で多くの共通点を持ちます。また、名前にもある通り、いずれもオリジナル版と比べて小型化を実現。

「PCエンジン mini」の本体サイズは、約120mm×119mm×33mm(マニュアルより)。オリジナル版が約140mm×135mm×40mmなので、一回り小さくなった印象です。対する「メガドライブ ミニ」のサイズは、約154mm×116mm×39mm(公式サイトより)。大きさそのものを比べると、「PCエンジン mini」よりも少しだけ大きめです。

ですが、「メガドライブ ミニ」は縮小率がかなり大きく、オリジナル版と比較して約55%も小さくなっています。元々メガドライブが、当時のハードの中では大きめだったこともあり、かなりの小型化と言えるでしょう。

しかし「PCエンジン mini」も、実はかなりの小型化を実現しています。というのも、当時の周辺機器「CD-ROM2」や「スーパーCD-ROM2」で遊べるタイトルも「PCエンジン mini」に収録されており、周辺機器をセットしたPCエンジンと比べるならば、「PCエンジン mini」は相当小さめ。一見しただけでは「ちょっと小さいPCエンジン」ですが、周辺機器の機能も含まれていると考えれば、見事な小型化です。

ちなみに当時のメガドライブも、同様の周辺機器「メガCD」「メガCD2」が登場しました。その外観を再現した「メガドラタワーミニ」も、「メガドライブ ミニ」と同時に発売。デコレーションキットなので、見た目を楽しむだけのものですし、サイズ的には当然大きくなっていますが、当時のユーザーにとっては心を奪われるファンアイテムに他なりません。

単純な大きさでは「PCエンジン mini」の方が小さく、縮小率は「メガドライブ ミニ」が優秀。一方で、周辺機器分を考慮すればかなりの小型化と言える「PCエンジン mini」と、むしろサイズを大きくして懐かしい姿を再現する「メガドラタワーミニ」。サイズの比較だけでもそれぞれの個性が浮かび上がります。

<cms-pagelink data-text=”続いては、収録タイトル数について比較” data-page=”2” data-class=”center”></cms-pagelink>

◆収録タイトル数、実はほぼ互角…かも!?

「メガドライブ ミニ」は、“令和初の家庭用向けゲームハード”という栄冠を手にしました。それ以前のミニハードはいずれも平成生まれ。また収録タイトル数も、過去のミニハードと比べて最多となる42本。豊かなボリュームも話題のひとつとなりました。

ですが単純な収録タイトル数でいえば、後発の「PCエンジン mini」が更に上回っており、本機だけで全58タイトルを収録しています。これだけ見ると「PCエンジン mini」に軍配が上がりそうですが、視点を変えるとその判定もやや難しいものに。

まず「PCエンジン mini」には、海外で発売された「TurboGrafx-16」版のタイトルが24本含まれており、該当作の表示文字や音声は英語。日本語版の収録タイトルに絞ると、34本です。また収録タイトルの中には、日本版と海外版で重複しているものも一部あり(『NEUTOPIA』『NEUTOPIA II』『DUNGEON EXPLORER』『Ys book I&II(イースI・II)』『MILITARY MADNESS(ネクタリス)』)、重複分を除くと53本となります。

かたや「メガドライブ ミニ」は、収録タイトルの全てが日本語版。さらに、タイトルによって違いこそあれ、海外バージョンが遊べるタイトルも多数あります。例えば『バンパイアキラー』の場合、北米版となる『Castlevania: BLOODLINES』や、欧州版の『Castlevania: The New Generation』もプレイ可能です。

また、「メガドライブ ミニ」には、12本のゲームが遊べる『ゲームのかんづめ お徳用』も収録されています。この『ゲームのかんづめ お徳用』内の収録ソフトは、ゲーム配信サービス「ゲーム図書館」の配信作品として登場したもので、元々はそれぞれが独立したタイトル。『ゲームのかんづめ お徳用』自体はゲーム集の「器」にあたるのでこの1本分を引き、そして12本のゲームを加えると、「メガドライブ ミニ」では53本のゲームが遊べると考えることもできます。

重複分を引いた「PCエンジン mini」と、『ゲームのかんづめ お徳用』分を換算した「メガドライブ ミニ」は、いずれも53タイトルが遊べるミニハードとも言えます。時代を超えて復活した両ハードが、遊べるゲームの数でも肩を並べる姿を見えると、なんだか不思議な縁を感じます。

──が、話はこれで終わりません。というのも、「PCエンジン mini」独自の要素として、『SOLDIER BLADE』のキャラバン用スペシャルバージョンと、『グラディウス』と『ファンタジーゾーン』をアーケードゲームに近づけたnear Arcade版の収録が、発売日当日に判明しました。この3タイトルは、裏技として遊ぶことができます。

■上記3タイトルの起動方法
タイトルメニュー画面で、SELECTを押したまま各ゲームを起動(RUN or Iボタン)
収録本数では優勢な「PCエンジン mini」。全て日本語版で遊べる上に、半数以上のタイトルで海外版のプレイも可能な「メガドライブ ミニ」。いずれも長所があり、シンプルに優劣を決めるのは難しい状況です。

<cms-pagelink data-text=”ユーザーを喜ばせるラインナップと、驚かせたサプライズ発表にも迫る!” data-page=”3” data-class=”center”></cms-pagelink>

◆どちらの「ミニ」も、ラインナップの嬉しいサプライズでファンの心を揺らす!

いずれのハードも、発表自体が嬉しい出来事でしたが、ファンを特に喜ばせたサプライズも多々ありました。「メガドライブ ミニ」は、段階的に収録タイトルを発表する形を取りましたが、その第一弾で明かされた『バンパイアキラー』に驚いた方も少なくありません。

『悪魔城ドラキュラ』シリーズとしてメガドライブにリリースされた『バンパイアキラー』は、人気に対して流通量が少なく、かなりのプレミアソフトとしても知られていました。移植やリメイクなどがなかったのも、高額化に拍車をかけます。

そんな貴重なタイトルが、「メガドライブ ミニ」を買うだけで遊べる──これは紛れもない朗報に他なりません。ちなみに「メガドライブ ミニ」の発売以降も、オリジナル版『バンパイアキラー』の相場は定価を超えたまま。改めて、「メガドライブ ミニ」のありがたみを噛みしめるばかりです。なお、現在は『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』でも『バンパイアキラー』を遊ぶことができます。

「メガドライブ ミニ」収録ラインナップは、その後も様々な展開を見せてファンを喜ばせます。難しいだろうと思われていた、『アイラブ ミッキーマウス ふしぎのお城大冒険』や『幽☆遊☆白書 魔強統一戦』といった版権モノの収録も、見逃せない点のひとつでしょう。

そして決定打と言えるのが、最後に発表された『テトリス』と『ダライアス』です。メガドライブソフトとして予定されていたものの、残念ながら発売中止となった『テトリス』。そして、当時のメガドライブにはリリースされていない『ダライアス』が、「メガドライブ ミニ」のために“制作”。実際に発売されていないタイトルすら収録するという、予想のななめ上を行くこの展開は、ゲーム史に刻まれてもおかしくない偉業と言えます。

対する「PCエンジン mini」は、第1報として『THE 功夫』や『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』、『イース I・II』に『ダンジョンエクスプローラー』など、PCエンジンを代表する作品や人気作などを発表。その後、第1報と含めた50タイトルを一気に公開しました。

まず注目されたのは、PCエンジンの中でも屈指の名作ADVとして名を馳せた『SNATCHER』。『メタルギア』シリーズを手がけた小島秀夫氏がディレクションやシナリオなどを手がけており、面白さも特筆もの。当然のように「PCエンジン mini」への収録も期待されており、そんなファンの願いは無事に叶いました。

また、ゲーム史を紐解く上で外せない『ときめきメモリアル』の収録も、「PCエンジン mini」の価値をさらに高める存在と言えます。本作は、恋愛シミュレーションブームに火を点けながらも、当時は品薄すぎてまったく手に入らなかった伝説的な作品。単純に遊ぶだけならば、プレイステーション版をゲームアーカイブスでプレイする手もありますが、原点であるPCエンジン版にアクセスしやすい環境が出来たのは、「PCエンジン mini」の功績と言えます。

この他にも、『ボンバーマン(’93/’94)』や『R-TYPE』といった定番から、かなりマニアックな『銀河婦警伝説サファイア』まで、バラエティに富んだラインナップで話題に。ですが「PCエンジン mini」はもう一手を進め、更なる収録タイトルを追加で発表し、ファンを驚かせます。

まず大きかったのは、『ドラゴンスピリット』、『源平討魔伝』、『ワルキューレの伝説』など、当時のナムコ作品が一挙加わったこと。PCエンジンには数多くのメーカーが参入しましたが、ナムコもそのひとつ。追加タイトルの発表で、「ようやく来たか!」と喜んだ方を、Twitterなどで多く見かけました。

また、『天外魔境II 卍MARU』と『スプリガン mark2』も、PCエンジンファンの心を強く動かします。PCエンジンにおけるRPGの代表作について語る際、『天外魔境II 卍MARU』は必ず名前が挙がるほどの名作。また、ドラマ性とゲーム性を融合させた『スプリガン mark2』も、STGファンから熱い関心を集めました。また、前述の裏技で遊べる3作品の発表も、心憎い演出です。

「メガドライブ ミニ」と「PCエンジン mini」は、いずれも異なる形でファンの「嬉しい」や「驚き」を引き出すことに成功。サプライズは喜びとなり、発売日以降は楽しいゲームプレイへと繋がります。

今回は比較という視点で各ハードに迫ってみましたが、どちらも魅力のあるハードに違いありません。どちらもいいし、両方遊んでもいい。贅沢な選択ができる幸せを噛みしめつつ、新たなゲームライフを満喫してください! インサイド 臥待 弦