士郎と桜の運命は?異質な聖杯戦争はどこへ向かう?『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』の物語を振り返り!

引用元:Movie Walker
士郎と桜の運命は?異質な聖杯戦争はどこへ向かう?『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』の物語を振り返り!

劇場版三部作という大ボリュームで、2017年から展開されている『劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]』(通称「桜ルート」)の物語が、3月28日(土)公開の劇場版『劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」III.spring song』でついに完結。最終章公開を前に、「Fate」シリーズ、ひいては[Heaven’s Feel](以下、HF)の魅力を再確認するコラムを3回に分けてお届け!2回目となる今回は、第1章と第2章の見どころを振り返り、主人公・衛宮士郎とヒロインの間桐桜がたどってきた物語をおさらいする。

【画像を見る】桜を守ろうとする衛宮士郎…(I.presage flower) 一挙に画像で振り返り!<画像21点>

HFで描かれてきたのは、“聖杯”を巡る魔術師たちの戦い「聖杯戦争」と謎に包まれたその実態。サーヴァントのセイバーを召喚(※用語や世界観については、https://movie.walkerplus.com/news/article/226566/を参照)し、聖杯戦争に参加することになった高校二年生の士郎は、同級生・間桐慎二の妹で高校の1年後輩でもある桜を自宅に匿うことに。やがて、彼女の壮絶な境遇や運命、士郎たちが暮らす街・冬木市に多大な被害をもたらす存在であることを知った士郎だが、それでも桜を守ると誓う。

■ 士郎と桜の出会いや異質な聖杯戦争「I.presage flower」

第1章「I.presage flower」の冒頭では、士郎と桜との出会いや、ふたりが交流を深めていく様子が丁寧に描かれている。中学生の頃の桜は瞳に何も映さない、うつろな表情の少女だった。そんな彼女が士郎のひたむきさや優しさに触れ、次第に惹かれていき、現在(高校一年生)の表情も感情も豊かな…恋する少女へと成長していく。

HF以前には、「Fate」ルート、「Unlimited Blade Works (通称UBW)」ルートと呼ばれる別機軸へと分岐するルートがあるのだが、この2本と本作が決定的に違うのは、これまでとはまったく違う様相を見せる聖杯戦争の展開だ。アサシン、キャスターの早々の退場と、“真・アサシン”という謎のサーヴァントの出現。慎二や桜の祖父、間桐臓硯の暗躍に謎の“黒い影”の出没。真・アサシンと黒い影に敗れるランサー。さらには、セイバーも黒い影に敗れ闇にのみ込まれていく…という、4騎のサーヴァントが次々と敗北していく怒涛の展開に驚愕した人も多いだろう。

■ 士郎と桜の一筋縄ではいかない恋路…「II.lost butterfly」

第2章「II.lost butterfly」では、前作で提示された謎や、聖杯戦争の真実。そして士郎と桜が進む恋路に立ちはだかる数々の障害と、物語が進むにつれて明かされていく情報量が非常に多い。

本作の見どころの一つと言えるのが、闇に飲まれ、“黒化=オルタ化”したセイバーとバーサーカーの戦闘シーンだ。圧倒的クオリティの作画から生まれる大迫力のアクション、いい意味でそのアクションの異様さを際立たせるカメラワーク。そして、セイバーオルタに敗れるバーサーカーの悲痛な演出の絶望感はすさまじい。追い打ちをかけるように、アーチャー、そして士郎が黒い影によって致命傷を負い、左腕を失った士郎を延命させるためにアーチャーが自身の腕を移植するという展開も衝撃的だ。

また、これまで“正義の味方”になることを目指してきた士郎が、桜のために戦うことを決意するという、生き様の変化もHFならではの展開。これまで追い続けた理想を捨て、大切な人との未来を守る意志を固めた士郎は、シリーズで初めて、正義の味方ではなく、“一人の人間”として生きることになるのだ。この選択はほかルートのアンチテーゼという一面も持っているが、だからこそ士郎と桜の恋物語に没入でき、その思いが真摯に伝わってくるのだろう。

■ 士郎と桜は結ばれるが、ふたりをさらなる試練が待ち受ける…

戦いによって傷つき、仲間も失っていく中で、ついに身も心も結ばれるふたり。一方で、黒い影によってさらに混迷を極めていく聖杯戦争、そして桜が抱える問題も明らかになり、黒い影と桜が同化してしまう…。最終章を前に、残るサーヴァントはライダー、そして真・アサシンのみという状況。黒い影と同化した桜やオルタ化したサーヴァントを相手に、物語の終着点はどこへ向かっていくのか…。そして、士郎たちが導きだす答えとは?(Movie Walker・文/リワークス(加藤雄斗))