来年2月退団の宝塚月組トップ・珠城りょうが涙、涙…13年での卒業にも「凝縮した時間。悔いはない」

引用元:スポーツ報知

 来年2月14日付で宝塚歌劇を卒業することが決まった宝塚歌劇月組トップスター・珠城(たまき)りょうが17日、大阪市内のホテルで退団発表会見を行った。白いスーツに身を包んだ珠城は「最後まで宝塚の男役を追求し、楽しんで、次の代に引き継いでいきたい」と話した。

 男らしい男役・珠城の涙腺が、いきなり緩んだ。会見開始でまず、同席した小川友次理事長(63)が「(数々の)大作に大変なプレッシャーがあったと思うが、正面からぶつかり、組をけん引してくれた。頭が下がる思い」とスピーチすると、目が涙で潤んだ。退団に至った経緯を聞かれると「涙もろいんで、ハンカチを持参してきました」と涙を拭きながら照れ笑いした。

 卒業を決めた時期は、当時2番手スターだった美弥るりかの退団公演「夢幻無双」上演の頃。組の体制が大きく変わろうとする時期だった。「今まで自分が耐えて、背負ってきたものを、そろそろ『ここまで』と決めて少しずつ(荷を)下ろしてもいいかなと思った」というが、真意は「早く退団を発表することで、組を担っていく子(下級生)たちが『自分たちが背負っていかなくては』という気持ちを持って、次のステップに踏み出してくれたら」という狙い。大きな決断だった。

 パートナーのトップ娘役・美園さくらには今年1月に報告。組子には16日の稽古の前に説明した。「みんなの顔を見たら、いろんな思いがこみあげて…。私が先に泣いてしまった」と、今年2月に退団会見した雪組トップ・望海風斗と同じ状況だったことを告白。その会見でも時折、絶句して「こんな泣く予定はなかったんですけど」と感情を素直に表に出した。

 トップスターの退団は、卒業日の約8か月前に発表するのが通例で、11か月も前の会見は異例だ。報告を受けた組子は「突然だったので、固まっちゃってて、静かに涙を流してくれた。すごくいとおしく感じた」。後進には「自分が何か得たい、つかみたいと思ったら、120%の努力と100%の強い意志と、あとは60%ぐらいの勇気があったら、きっと大きな花が咲くと思います」とメッセージを送ったという。

 ファン時代から憧れていた月組に入り、これまで一筋。押し出しの強さ、存在感で、入団2年目で新人公演に抜てきされるなど期待を集め、2016年、昨今では月組・天海祐希(現女優、87~95年在団)の7年目就任に次ぐ史上2番目の早さの9年目でトップへ上り詰めた。

 「正直、天海さんとは比べものにならないので、やめてと思っていましたが、それはそれで。私は私。時間はかかってもいいから、がむしゃらに」。悩み、苦しみに耐えながら、退団時でトップ歴は約4年半になるが、在団わずか13年間での早期の卒業となる。「今振り返るとあっという間。もっと長くいたら、違う景色を見れたかもしれませんし、男役としていろんなものをお見せできたかもしれませんが、密度の濃い凝縮した時間を過ごさせていただいた。悔いはない」と話した。

 新型コロナウイルス感染拡大防止で、名古屋・御園座公演は先月29日から千秋楽まで中止になった。ファンに向けては「こういった状況で皆さんには会えていませんが、みなさんがいなければここまで頑張ってこられなかった。強く、笑顔でいられた」と涙ながらに感謝。「こういうご時世ですが、私の退団のニュースが暗いニュースと受け取ってほしくない。次のステージに進む大きな一歩。まっすぐ歩いていきたいので、最後までついてきてほしい」と話した。

 退団後については「まだ何も決まっていない」といい、退団会見恒例の結婚の可能性の質問には、左手の指を見せ、「ああー、(指輪が)見えないな」と苦笑。「組子に『その質問、絶対あるので、面白い返しを』と言われましたが、今のが限界です」と笑わせた。

 4月24日には「WELCOME TO TAKARAZUKA」「ピガール狂騒曲」が兵庫・宝塚大劇場で開幕予定(6月1日まで、東京宝塚劇場は6月19日~7月26日)。プレサヨナラ公演は、宝塚バウホール公演「幽霊刑事(デカ)~サヨナラする、その前に~」(9月8~22日)」。サヨナラ公演は「桜嵐記(おうらんき)」「Dream Chaser」(宝塚大劇場で2020年11月13日~12月14日、東京宝塚劇場で来年1~2月の予定)。 報知新聞社