アキバ系アイドル→AV女優を経て…きこうでんみささんは今

アキバ系アイドル→AV女優を経て…きこうでんみささんは今

【あの人は今こうしている】

きこうでん みささん(37)

「はきゅ~ん」「萌え萌えビーム!!」……。こんな特異なフレーズが話題になり、元祖アキバ系アイドルともてはやされた。本日登場の、きこうでんみささん(37)だ。だが最近、テレビでは見ない。今どうしているのか?

 ◇  ◇  ◇

 JR秋葉原駅。きこうでんさんと待ち合わせたのは、隣接するファッションビルのカフェ。白いレースのガーリーなワンピース姿は目立つ目立つ。とても37歳には見えない。

「あら、そうですか? でも18歳で芸能活動を始め、今年で19年目。ホント、早いものですね」

 聞き覚えのあるアニメ声。左右の頬のエクボも変わらない。

 ところで、今は何を?

「タレント活動を続けながら、飲食店のアドバイザーや雑誌のキャスティング、コーディネート、商品プロデュースですね。YouTubeではトークチャンネル『かみたま 元了法寺』を親友でイラストレーターのとろ美ちゃんと運営しています」

 アドバイザー?

「例えば、メイドカフェを経営したい会社には、コンセプトや内装、女の子の衣装デザイン、メニューなどをご希望に沿うように提案するわけです。キャスティングやコーディネートは人脈を生かせますし、もっぱら知人の紹介でお仕事が来るんです」

「かみたま 元了法寺」は、アニメ看板とアニメPVがオタク界隈で有名な八王子市の古刹・了法寺公認。とろ美さんが看板を書いたことが縁で、9年前からきこうでんさんは、美と富と幸福の神様・吉祥天のイメージキャラを務めている。

「それと六本木にあるAV女優キャバクラ『レッドドラゴン』のキャストを週に4、5回。接客も好きなんですよ」

 構想を練っているのが、同店で知り合った現役や元AV女優らセクシータレントのセカンドキャリアだという。

「結構、頭の回転も性格も良い頑張り屋さんが多いんです。しかも美人。その才能を生かし、社会貢献したいですね」

■AV作品は爆発的大ヒット

 さて、きこうでんさんは、ヘリコプターパイロットの父、元モデルの母の間に生まれた一人娘。何不自由なく育った“箱入り”だった。

「父が転勤族で小学校は毎学年、転校していたんです。しかも門限は夕方5時。となると、自宅で遊ぶしかない。それで少女コミックが友達づくりのツールになったんです。毎月、何十冊って買うもんだから、自宅はさながらミニ図書館でした」

 中学から静岡市に住み、名門中高一貫校へ進学。同時にアニメにのめり込んだ。

「最初に夢中になったのは『エヴァンゲリオン』の綾波レイで、中学3年の時にコミックマーケット初参戦。高校進学後、声優を目指して養成所に通いました」

 そして「裏方より、みんなの前に出る方が向いている」という講師の勧めで、初めて受けたオーディションがバラエティー番組「スキヤキ!!ロンドンブーツ大作戦」(テレビ東京系)。コスプレが大ウケし、準レギュラーの座を獲得。晴れて芸能界デビューした。

「“はきゅ~ん”が生まれたのも『スキヤキ――』でした。アニメ『鋼鉄天使くるみ』の決めゼリフ“きゅい~ん”を言い間違え、それが好評なのでそのまま使ってたら私の代名詞になっちゃった」

 その後はバラエティー番組に引っ張りだこ。TOKIO司会の「ガチンコ!」(TBS系)内の企画「芸能人玉の輿学院」にレギュラー出演したほか、「くりぃむナントカ」(テレビ朝日系)、「秋葉な連中」(テレビ東京系)などで活躍。元祖「アキバ系」「萌え系」アイドルとして人気を集めた。

 驚かされたのは、2007年。クリスタル映像からAVデビューするや、作品は爆発的大ヒット。実売数コンテスト「AV OPEN2007」で見事、準優勝を勝ち取った。

「当時、アキバ系タレントでAVに出演した子はいなかったんです。それで『じゃあ、私がパイオニアになろう』と思ったのがきっかけでした。両親? 父は快く思ってなかったでしょうけど、母は『健康であれば、それでいいんじゃないの?』って(笑い)」

 09年、惜しまれつつAVから引退。その後はタレント業をメインに、前述のように二足、三足のわらじを履いている。

 ところで白馬の騎士は?

「今は縁がないです。私、車好きなので、オフの日はドライブに連れていってくれる人がいいですね」

 都内で一人暮らしだ。

 (取材・文=高鍬真之)