読書と推理が一体化したアドベンチャーから手描きアニメの美しい小品まで!インディーマニア向けValencia Indie Summitアワード受賞7作ピックアップ

引用元:IGN JAPAN
読書と推理が一体化したアドベンチャーから手描きアニメの美しい小品まで!インディーマニア向けValencia Indie Summitアワード受賞7作ピックアップ

新型コロナウイルスで多くのゲームイベントが中止となる中、筆者は今年もスペインのバレンシアで開かれるValencia Indie Summitに参加してきた。Valencia Indie Summit(以下、VIS)は2018年から始まったインディーゲームのイベント。筆者は昨年と同様、出展タイトルとアワードの審査員を行うとともに、さらにインディーデベロッパーとゲームメディアの関係に関するラウンドテーブルにも出席した(英語でのラウンドテーブル参加は冷や汗ものでした……)。

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バレンシアはマドリード、バルセロナに続くスペインの第三の大都市ではあるが、全体としてはほのかに田舎らしい落ち着いた雰囲気が魅力だ。ゲーム産業的にも文化の中心地であるバルセロナの方が大きく、バレンシアはデベロッパーの数や開発規模もそれほど大きくない。しかしながら、今回のアワードはなかなか見応えのあるものに成長した。もちろん、すべてがバレンシア産ゲームとは言えないものの、これほど充実したライナップがローカルなインディーゲームイベントに集結したのは素晴らしいことだ。そこで今回はアワードを獲得したタイトルを紹介したい。

ScourgeBringer by Flying Oak Games

フランスのFlying Oak Gamesによる2Dアクションゲーム『SCOURGE BRINGER』はBest PC Indie Game及び、事実上の大賞であるBest Indie Gameを受賞した。すでにSteamでアーリーアクセスとして販売されており、レビューは「非常に好評」ということなので、この結果は妥当なものだろう。
本作はダッシュや2段ジャンプを活かした軽やかな近接格闘アクションとランダム生成のダンジョンが特徴の2Dアクションゲームで『Hyper Light Drifter』を思わせるモダンなドット絵とエフェクトが印象的だ。アクションの操作感もセンスの良いSEやエフェクトと相まって極めて爽快。

ミスすると稼いだお金がロストするが、スキルポイントは引き継がれるシステムは『Dead Cells』や『Enter the Gungeon』などいわゆる「ローグライト」と言われるジャンルに近い。ランダム生成されるダンジョンの中ボスとボスを倒し、いくつかのステージを踏破するのが目的だ。2020年のうちに完成を目指しているそうで、現在のアーリーアクセス版からステージが追加される予定だ。基本的なゲームシステムは完成しているため、気になる方は今から購入しても十分楽しめるだろう。
Unmemory by Patrones Escondites

Best Mobile Indie Game、Best Narrative、Best Designの三冠を獲得したのは、バルセロナの小さなデベロッパーによる『Unmemory』という作品。本作はKickstarterでのファンドを得て開発する彼らの処女作となる。
「読むゲームであり、プレイする犯罪小説」と題された本作はテキストベースのアドベンチャーゲームだ。なによりも魅せられるのは、そのデザインの美しさと繊細さ。フォントからレイアウト、挿絵にサウンドまで極めてスタイリッシュに作られており、小説を読むのともゲームをプレイするのとも異なる独特の没入感が感じられる。

物語はKiller Kittensと呼ばれる強盗団にまつわるノワール小説となっており、文字を読み進めながら、挿絵をタッチしたり、暗号を解読したりしてパズルを問いていく。2020年内にiOSとAndroid向けに英語とスペイン語でリリース予定。レイアウト周りの問題から日本語へのローカライズはなかなか難しいと思われるが、ぜひとも日本語でもプレイしたい独創的で美しいゲームである。
Tower Princess by AweKteaM

Best Console Indie Gameを獲得した『Tower Princess』はスペインのAweKteaMによる3Dアクションプラットフォーマーだ 。 懐かしさを感じるポリゴンで描かれた騎士を操作し、ドラゴンを倒し、姫を救うという王道の設定と思いきや、すべての要素が自動生成され、姫は騎士と共に戦うというややヒネったゲームデザインが特徴だ 。 プレイしたバージョンは基本的なメカニクスは完成しているものの、まだまだレベルデザインは未完成 。