“ザク愛”に満ち満ちた3月9日、量産型という“完成形を持たないモチーフ”の強み

引用元:オリコン
“ザク愛”に満ち満ちた3月9日、量産型という“完成形を持たないモチーフ”の強み

 ガンダムファンの間で3月9日は、39(ザク)の語呂合わせで「ザクの日」と呼ばれ親しまれている。今年も、Twitterでは自慢のガンプラ作品に「#ザクの日」をつけて投稿する人が続出し、大いに盛り上がっていた。そこで今回、愛する旧ザクのジオラマでフォロワーを沸かせたピロセピロシ(@archidelic02)氏にインタビューを実施。「創造性を掻き立てられる」と語る“量産型”の魅力について聞いた。

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■量産型だからこそ「ワンオフの機体」への“欲”が生まれる

――ガンダムシリーズでお気に入りは?

【ピロセピロシ】実は、きちんと見たのはファーストだけです。表面上はロボットアニメの様式でしたが、「戦争」という状況の中、人間を端役に至るまで細かく描いていて、様々なドラマがあったと思います。

――好きなキャラやシーンを教えてください。

【ピロセピロシ】人間としてはカイが好きです。回を通してキャラクターが変化(成長)していく様に共感しました。好きなシーンは、富野由悠季監督が脚本を担当した第14話「時間よ、止まれ」の終盤、爆弾を解除したアムロに青年団に扮したジオン兵が「これからも頑張れよ大将!」と声をかけるシーンです。そして、それを見ていたブライトが「連中だな、仕掛けたのは」とジオン兵であることを見破るのもたまりません。劇場版ではカットされたエピソードですが、厚みのある物語だと思います。

――では、ガンプラにハマったきっかけというのは?

【ピロセピロシ】元々はロボットやSFが大好きなのですが、ファーストガンダムに登場した「量産型」という概念は凄く新鮮でしたし、それをガンプラで再現できるのは嬉しかったですね。ザクやジムは量産機であるからこそバリエーションが豊富で、そういった意味で“ワンオフの機体を作りたい”という欲望が、私を含めモデラーの中で生まれたんだと思います。

――ザクへの思い入れが強いんですね。

【ピロセピロシ】「量産型」の代名詞ですし、大河原邦男さんのデザインも秀逸で美しいと思います。それなのに、手を加える余地も残っていて創造性を掻き立てられます。

――ピロセさんにとってザクの名場面といえば?

【ピロセピロシ】ファーストガンダムの第3話「敵の補給艦を叩け!」に登場する旧ザクの活躍です。「旧型」という言葉の響きと、丸腰でガンダムに立ち向かうシーンは最高にカッコいいです。でも、搭乗しているガデム曹長は「このザクとてワシと百戦錬磨の戦いの中をくぐり抜けてきたのだ。にわか作りの連邦軍のモビルスーツ(MS)、一撃で倒してみせるわ!」という勇ましいセリフを吐きますが、連邦軍の新型MSであるガンダムにあっさりとやられます。この、“精神論”とか生半可な“操縦技術”ではMSのスペックの差をひっくり返せないという部分に、ファーストガンダムが描く“戦争のシビアさ”を感じました。