「タイトルの集約が進んだ1年。自分も実力高めて活躍を」藤井聡太七段が2019年を回顧

引用元:スポーツ報知

 将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が8日、名古屋市内で開催された「将棋プレミアムフェスin名古屋2019」に出席。終了後、棋界随一の二枚目棋士として知られる都成竜馬六段(29)と会見に臨んだ。

 ―今年を振り返って

 藤井聡太七段(以下、藤)「今年は王将リーグなど、トップ棋士の方と多く対戦することができて、自分の現状の課題を知ることができた1年だったかなあと思いますし、そうした反省を来年につなげていけたらと思います」

 都成竜馬六段(以下、都)「思うように勝てなかった部分もあって、(通算)勝率は落ちてしまったんですけど、昇段できたり良いこともありました。新しいこともあり、環境も変わったりと、充実した1年でした」

 ―藤井七段は課題という部分で持ち時間の使い方を挙げていた。具体的には。

 藤「今年の竜王戦と王将戦で敗れた対局を振り返ると、こちらが中盤で時間を多く使って、その結果で形勢を損ねてしまっている場面が多くあったので、そのあたりは改善していきたいなと思っています」

 ―藤井七段が1分間で7手詰の詰将棋を17問解いたり、今日のイベントではプロの技術を見せつけた。詰将棋の極意とは。

 藤「特に短い手数の詰将棋では詰み形のパターンを多く知っていることが速く解けることにつながると思います」

 都「藤井さんの言う通りで、ある程度、形が決まっている時、こういう手順だろうな、と予想を立てることです。短い手数ならば、まとまりのある手順になるはずなので」

 ―「今年の漢字」は。昨年の藤井七段は「進」としましたが。

 藤「(約1分の小考の後に)研究の『研』で。トップ棋士の方と多く対戦する中、自分の中の考えが深まる1年だったので」

 都「『挑』です。新しいこと、いろんなことに挑戦した1年だったかなと思いますので」

 ―7日に豊島将之竜王・名人が誕生し、今年のタイトル戦が全て終わりました。8大タイトルを8人で分け合った昨年から一転、防衛1、奪取7という激動の1年だった。現状をどう見ているか。いかに2020年を戦うか。

 藤「全体としてタイトルの集約が進んだ1年だったかなと思います。特に複数冠を保持されている渡辺(明)3冠、豊島竜王・名人、永瀬(拓矢)2冠を中心にしばらくいくのかなと思いますが、自分も実力を高めて活躍していけたらと思います」

 都「タイトルの入れ替わりが激しいという意味で、(実力が)拮抗しているところもあると思うんですけど、現タイトルホルダーの方たちが抜け出しているのが現状だと思います。でそこに藤井さんや次のグループが入っていく。自分の立場で言うと、そこには全くかすりもしていないポジションです。でも、チャンスは増えている時代だと思うので、実力を高めてチャンスを狙っていきたいと思います」

 ―豊島竜王・名人誕生の印象と今後いかに戦うかについて。

 藤「豊島竜王・名人は以前から序中盤の手厚い将棋でしたけど、今期の竜王戦は終盤の指し回しが鋭かった印象がありまして、とても充実しているなと感じます。自分自身、豊島名人との公式戦では結果を残せていません(未勝利)ので、実力を付けて互角に渡り合えるように頑張りたいと思っています」

 都「豊島竜王・名人は同世代(同じ29歳)でもあるんですけど、常に遙か先を行っておられる方で、ずっと目標にしています。最近は苦しい将棋でも決め手を与えないような指し回しが印象的で、竜王戦も逆転勝ちが多かったと思います。以前以上に力強く、充実した将棋を指されている。対戦する機会が少ないので、まずは対戦するところまで勝ち上がっていきたいです」

 ―来年は五輪イヤーになるが…。

 藤「新国立競技場が将棋会館のある街、千駄ヶ谷にできて、五輪の開会式なども行われるので、千駄ヶ谷の街全体として盛り上がってくれればいいなと思っています」

 都「あまりスポーツを観たり、ということをしていなかったので、五輪を機に新たな趣味を増やしていきたいです」

報知新聞社