R-1、無観客で際立ったピン芸人の雑なしゃべり 「芸人の滑舌の悪さが…」

引用元:夕刊フジ
R-1、無観客で際立ったピン芸人の雑なしゃべり 「芸人の滑舌の悪さが…」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて無観客で行われた、ピン芸人の日本一を決める『R-1ぐらんぷり2020』で頂点に立ったマヂカルラブリーの野田クリスタル(33)。無観客という異様な環境で行われた賞レースが、ピン芸人の深刻な課題を浮き彫りにした。

 新型コロナウイルスの影響で、観客を入れず、視聴者と審査員による投票で王者が決まった今年のR-1。生中継に携わるスタッフの笑い声だけが響くというこれまでとは違う異質な雰囲気に包まれた大会となった。

 「芸人にとって無観客の賞レースは手探り状態。トップバッターのメルヘン須長はドラマ『科捜研の女』の沢口靖子のモノマネを核にしたネタを披露するも、客の反応がないためにオーディションのネタ見せのようになってしまった」と演芸評論家の高山和久氏は無観客試合の難しさを指摘する。

 この厳しい状況を打破したのが野田クリスタル。ゲームという題材でシュールながらも視聴者も取っつきやすいネタで優勝を引き寄せた。

 しかし、観客がいないことで、最近のピン芸人にありがちな課題が垣間見えたのも事実だ。

 「芸人の滑舌が非常に悪くなり、聞き取りにくくなっているように思います。近年はハリウッド・ザコシショウやアキラ100%のような裸芸や、昨年のR-1王者の霜降り明星の粗品の影響なのかフリップ芸がまた増えてきたことで一目瞭然の笑いが主流となっており、しゃべりが粗くなっているようです」と民放関係者。

 「それでも観客がいれば、会場の笑いに包まれることでそれとなく面白い雰囲気をまとうこともできるのですが、それがないと粗さばかりが目立ってしまう」とも。

 先の高山氏はこう指摘する。

 「確かに今回は芸人の滑舌の悪さが気になりました。フリップ芸は絵が相方で、オチも言葉というよりめくるタイミングが大切になってきます。その部分に集中することで、しゃべりが雑になるのではないでしょうか。フリップ芸は差別化が難しく、街頭の紙芝居の進化でもあるので、もっと言葉で物語空間をつくり上げることが必要になってくるでしょう。滑舌のよさと引き込ませ術にたけている店頭販売の実演販売士がR-1に登場する日も近いかも…」

 やはり芸は奥深い。