「タイムスリップもの」なのに期待外れ…と思ったが上野樹里の好演で急上昇 『テセウスの船』

引用元:夕刊フジ
「タイムスリップもの」なのに期待外れ…と思ったが上野樹里の好演で急上昇 『テセウスの船』

 【TV視てますか?】

 TBS日曜劇場『テセウスの船』。大好物の「タイムスリップもの」だし、キャストの顔ぶれもいいのだが、初回と第2話は主人公の行動の粗さばかりが目立ち、見通すのがかなりツラかった。視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は初回から11%台。ところが、5話で11%台ながら上向き、6話が13%台、7話は14%台と、急カーブで上昇。回が進むにつれて当初のキツさが苦にならない程度に改善され、その分、オモシロ度が増している。やはり「数字は裏切らない」のだなぁ。

 当初ガックリきたのはスティーヴン・キングの長編小説『11/22/63』(1958年に通じる扉の存在を知った主人公が自分の意志で「タイムトラベル」し、63年11月22日のケネディ大統領暗殺を阻止しようとする話)や、同じ日曜劇場『JIN-仁-』(現代の脳外科医が幕末に「タイムスリップ」する話)との落差ばかりが気になったから。

 でも、本作にも見るべきところはいくつもある。その筆頭が「特別出演」とクレジットされる上野樹里の存在だ。

 生まれる前に父親(鈴木亮平)が大量毒殺事件の犯人として逮捕され、加害者家族として生きてきた主人公(竹内涼真)を、最愛の妻・田村由紀(上野樹里)は「自分の父親を信じてみて」と励ましながら亡くなる。事件現場を訪れた竹内は、事件が起こる直前の平成元年に突然タイムスリップ。そこでは自分が母(榮倉奈々)の胎内にいた31年前の両親や幼い姉兄が「愛すべき家族」として暮らしていた。事件の謎を解明し、発生を食い止めるべく、もがく竹内。

 だが第4話、再び現代に突然タイムスリップする。当然「タイム・パラドックス」で現代が変わっていた。なんと上野樹里が、亡くなった妻とは正反対に被害者側の視点に立つ週刊誌記者、田村由紀として現れる。まさに「テセウスの船」のシンボル的存在。そこからが本作、俄然(がぜん)オモシロくなる。

 麻生祐未は怪演。榮倉奈々は日曜劇場『99.9』と同じく大のプロレス好きキャラだった。(新橋のネクタイ巻き)