劇作家の別役実さんが死去…長くパーキンソン病患い、入退院繰り返す

引用元:スポーツ報知

 劇作家の別役実(べつやく・みのる)さんが、3日午前0時12分に肺炎のため都内の病院で死去したことが10日、日本劇作家協会から発表された。82歳だった。近親者のみで葬儀・告別式を終え、喪主は長女でイラストレーター・べつやくれい(48=本名・林怜)が務めた。後日「しのぶ会」を開く予定という。

 同協会によると、別役さんは長くパーキンソン病を患い、入退院を繰り返していた。今年1月から体調を崩していたという。18年10月に名取事務所が上演した「ああ、それなのに、それなのに」が最後の作品となった。

 1937年、旧満州(中国東北部)の長春生まれ。58年に早大入学後、学生劇団「自由舞台」に入団し、中退後の62年に早稲田小劇場の前身となる劇団を旗揚げした。電信柱とベンチだけのシンプルな舞台で「男1」「女1」など名前のない登場人物たちが不思議な出会いをする独特の作劇で知られた。人間の内面の矛盾をあぶり出す鋭い言葉と、詩的なセリフが醸し出す叙情性が相まった日本独自の不条理劇を確立した劇作家で、童話作家、随筆家としても活躍した。

 68年に「マッチ売りの少女」「赤い鳥の居る風景」で第13回岸田國士戯曲賞、08年に「やってきたゴドー」で第11回鶴屋南北戯曲賞などを受賞。劇作家協会の会長、兵庫県立ピッコロ劇団代表などを歴任。15~16年には全国の劇場で横断的に作品を上演する「別役実フェスティバル」を開催するなど、演劇界の発展に大きく寄与した。 報知新聞社