伊藤蘭、41年ぶり歌手活動再開へ想い語る、「自分の過去を肯定、真っ向から“キャンディーズ”に取り組む」

引用元:オリコン
伊藤蘭、41年ぶり歌手活動再開へ想い語る、「自分の過去を肯定、真っ向から“キャンディーズ”に取り組む」

 1973年9月に「あなたに夢中」でデビュー、人気絶頂の1978年4月に後楽園球場で解散コンサート開催するまで、わずか4年半の間に、世の中に鮮烈な印象を残したアイドルグループ・キャンディーズ。そのメンバーで、解散後一切の音楽活動から離れていた伊藤蘭が、昨年音楽活動を再開させた。41年という時間が、彼女の心にどんな変化をもたらしたのか、聞いてみた。

【ライブ写真】キャンディーズの名曲を次々と披露した伊藤蘭

■自分の歌の世界が作れたら私自身も楽しいと思い、始めた。

━━昨年、アルバム『My Bouquet』をリリースされ、キャンディーズ解散以来、41年ぶりに歌手活動を再開されました。ソロデビューに至ったきっかけをお聞かせください。
【伊藤】「歌わない?」というお誘いはちょこちょこいただいていたのですが、歌はもう私のなかでは違うという気持ちで芝居の道をスタートさせていたので、真剣に考えたことはありませんでした。とにかく芝居のことで一生懸命でしたし、結婚もし、出産もし、子育てもし、歌が入るスキがなかったこともあるかもしれません。それが今回ふとした隙間に入り込んできたというか……(笑)。もうそんなに、あれこれできる年代でもないし、でもまだ元気だし、引っ込み思案になるよりは喜んでくださる方がいるなら、やってみようかなと。自分の歌の世界が作れたら私自身も楽しいしと思い、始めました。

━━収録した楽曲と、ご自身が書かれた詞について、どんなこだわりをもたれましたか。
【伊藤】曲は100以上のなかから、もう1回聴きたいと思う、耳に残るメロディーを選びました。詞は、私自身、「人生を振り返って、ここまでたどり着きました」みたいな気持ちが全然なくて(笑)、逆にそういう詞は私ではないような気がするので、年齢は特に意識せず書きました。

━━久しぶりのレコーディングはいかがでしたか?
【伊藤】難しかったですね。歌うということに対して、勘が戻るまでにとても時間がかかりました。

━━リリースの翌6月には、ファースト・ソロ・コンサートをTOKYO DOME CITY HALLとNHK大阪ホールにて開催されました。久しぶりのコンサートはいかがでしたか?
【伊藤】久しぶりだったので、無我夢中ということもあって、あまりよく覚えていないのですが、皆さんが楽しんでくれているのがステージから見て取れたし、空気でも伝わってきたので、またやろうっていう気持ちになれましたね。

■新しい曲を増やして、自分の音楽の世界を作り上げていきたい

━━大好評を受け、今年はコンサートツアーをスタートされました。ファーストコンサートでは、6曲歌われたキャンディーズの楽曲を、ツアーでは12曲歌われています。
【伊藤】まさか、ひとりでキャンディーズの曲を歌うなんて想像もしていませんでした。でも、期待してくれている方もいるだろうし、私が歌わないのも変かなと思って数曲入れてみたのですが、お客様の反応を見て、こんなにキャンディーズの歌を愛してくださっている方がいるのかと。なら、もうちょっと数を増やしてみようかなということで、ツアーでは、こんなにたくさん(笑)。カラオケでもこんなに歌ったことないのに(笑)。

━━歌われていかがでしたか?
【伊藤】キャンディーズの歌は速いし、高いし、若い女の子の歌なので、今の私が歌うのもどうかという気持ちもあり、いろいろなものを乗り越えながらのステージでした(笑)。振りも、体が覚えていると思っていたのに覚えてなくて、踊れないことに自分がビックリしたくらい(笑)。でも、キャンディーズ時代のことは、今まであえて意識しないようにしていた気がするんです。それが、今回、真っ向から取り組んでみることによって、わだかまりみたいなものが解けていくのがわかりましたし、キャンディーズ時代のことを恥ずかしいと思っていたわけではないけれど、自分の過去のすべてに肯定感が持てるようになったのは、良かったかなって思っています。

━━今後、全国9か所のツアーが続きます。ツアーに賭ける思いと今後の歌手活動への豊富をお願いします。
【伊藤】皆様と直接お会いできるのが何よりうれしいですし、同じ時間を共有できる素晴らしさを感じながら歌っていますので、ぜひ足を運んでいただけたらと思います。歌手活動については、少しずつでも新しい曲を増やして、自分の音楽の世界を作り上げていきたいですね。たとえばキャンディーズ以外で会場全体が一体になれるような曲とか、今の年齢にふさわしいバラードとか、こんな歌も歌うの! というような曲とか。自分なりの課題や越えなければいけない山はたくさんありますが、改めて音を紡ぎ出す世界に魅了されています。

文/河上いつ子

撮影:東美樹
ヘアメイク:西山舞(LUGAR)
スタイリスト:江島モモ(EOPLUS)
衣装:semicouture_official