NHK放送後に反響呼んだドキュメンタリーの全長版公開、ある若者の9年間を記録

引用元:映画ナタリー
NHK放送後に反響呼んだドキュメンタリーの全長版公開、ある若者の9年間を記録

ドキュメンタリー映画「ぼくが性別『ゼロ』に戻るとき 空と木の実の9年間」が5月22日より公開される。

【写真】「ぼくが性別『ゼロ』に戻るとき 空と木の実の9年間」(メディアギャラリー他11件)

本作は2019年11月にNHK BS1で放送され、反響を呼んだ小林空雅(たかまさ)のドキュメンタリー「僕が性別“ゼロ”になった理由」の全長版である。13歳で性同一性障害と診断された小林は、17歳のときに出場した弁論大会で、700人の観客を前に男性として生きていくことを宣言した。そして20歳で性別適合手術を受け、戸籍を男性に変えた。

本作では78歳で性別適合手術を行い女性となった八代みゆき、自ら「Xジェンダー(性別なし)」だと明かし性の多様性を伝える中島潤らと出会う中で、1人の若者が成長と変化を遂げ、改めて自身の性を見つめ直すさまが映し出される。

監督を務めたのは、元NHKディレクターの常井美幸。小林が手術を乗り越え、法的な手続きを経て正式に男性になって人生を歩んでいくさまを9年間にわたりカメラで捉えた。常井は「男と女だけではない、いろいろな形の性別があることを描くことで、カテゴリーの枠をはずれて自分らしく生きられる社会、ひとりひとりが互いの違いを超えて受け入れあえる社会。そういう自由な社会に少しでも近づけたらと思って制作しました」と制作の動機を明かしている。

「ぼくが性別『ゼロ』に戻るとき 空と木の実の9年間」は東京・UPLINK渋谷ほか全国で順次公開。

■ 常井美幸 コメント
劇場公開に向けて:性別の向こう側に隠れていた「ありのままの自分」
「どうしたら自分らしさを失わずに、この社会で生きていけるのだろう?」私は常に自分自身に違和感をもちながら、自分の居場所を探してきました。人格の根幹である「性」が揺れている人たちを描くことで、その答えを見つけようとしたのかもしれません。
登場人物たちはそれぞれ「自分とは何者か」「自分らしい生き方」を真剣に模索する人たち。「性別」という枠を超えた向こう側には、本当の自分がいることを見つけた人たち。彼らと出会うことで、私は自分の生き方を問い直し、新たな気づきをもらい、自分が目指す社会へのイメージを膨らませるきっかけをもらいました。
このドキュメンタリーは「性別」をモチーフにしていますが、「性別」のことだけを描きたかったわけではありません。男と女だけではない、いろいろな形の性別があることを描くことで、カテゴリーの枠をはずれて自分らしく生きられる社会、ひとりひとりが互いの違いを超えて受け入れあえる社会。そういう自由な社会に少しでも近づけたらと思って制作しました。このたび劇場で公開されるにあたって、ひとりひとりが自分らしい生き方を問い直すきっかけになったらうれしいです。

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