「劇場版SHIROBAKO」を見たから明日も頑張れる この作品が実質「アベンジャーズ/エンドゲーム」だった「5つ」の理由

引用元:ねとらぼ
「劇場版SHIROBAKO」を見たから明日も頑張れる この作品が実質「アベンジャーズ/エンドゲーム」だった「5つ」の理由

 「劇場版SHIROBAKO」が絶賛公開中だ。同作を見た後しばらくして、筆者は思った。これは、アニメ制作版「アベンジャーズ/エンドゲーム」じゃないか、と。その理由を詳しく書いていこう。

【画像】4年後の宮森たちの活躍が描かれる

※以下、「劇場版SHIROBAKO」のネタバレは避けて書いたつもりではあるが、作品の構造に踏み込んでいるところもあるため、予備知識なく本編を見たいという方は注意してほしい。なお「アベンジャーズ/エンドゲーム」については思い切りネタバレしている。

1:数年の時間経過があり、序盤がほぼ鬱展開である

 「SHIROBAKO」はアニメーション業界の仕事を描いた作品だ。5人の若い女性が夢をかなえるために切磋琢磨するというメインプロットがあり、同時に制作上でのトラブル、クリエイティブな仕事がゆえに起こる挫折や葛藤など、現場の環境がリアルに描かれる、多数の人間が織りなす群像劇にもなっている。

 テレビシリーズは2014年10月から2015年3月まで放送され、今回の劇場版はほぼ5年の月日を経て世に送り出された完全新作となっている。本作の物語は、現実での年月とシンクロするように「あれから4年後」のキャラクターが描かれることになる。

 そこで描かれるのは“鬱展開”と言っても過言ではない、テレビ版を見ていた人にとってはなかなかショッキングなものだ。そして同時に、テレビ版のファンは“安心”も覚える。なぜなら、激変したのはあくまで“環境”であり、それぞれの本質的な性格や魅力は変わっていない(むしろ成長していたりもする)のだから。

 開始早々、「ああっ……あいつらが5年(劇中では4年)前と変わらない姿でいる……」「でも……なんでこんなことになっちまったんだ……」という、親しみのあるキャラたちを愛おしく思いつつも、切ない気持ちでいっぱいになるという、なんとも複雑な心境に追い込んでくれるのだ。

 これこそ「アベンジャーズ/エンドゲーム」の序盤の衝撃的な展開を連想されるポイントだ。こちらでは、人類の半分が消えた地球で、ヒーローたちは巨悪をあっさりと倒すが、事態は解決しないまま無情にも舞台は“5年後”に移る。そこには、希望を失ったまま日々を過ごしている、かつてのヒーローたちの姿があった。

 「劇場版SHIROBAKO」における、アニメに携わっているキャラの姿が、この「アベンジャーズ/エンドゲーム」のヒーローたちの哀しい姿に、どこか重なって見えたのだ。自分たちには人々を楽しませるアニメを作る力がある。だけど、今はそれはできない。方法がない。どうしようもない。そんな状態にまで陥っているのだから。

 しかし、ほんのわずかな可能性から、希望へとつなげていく……そんな「どん底からの逆襲」が描かれる「劇場版SHIROBAKO」は、ヒーロー映画さながらのカタルシスを届けてくれる。そこにこそ、最大の感動がある作品だったのだ。