久本雅美・柴田理恵、あふれ出る“WAHAHA愛” 「動画」全盛の時代に「舞台」にこだわる理由

引用元:オリコン
久本雅美・柴田理恵、あふれ出る“WAHAHA愛” 「動画」全盛の時代に「舞台」にこだわる理由

 一昔前、「テレビ」では過激すぎると“弾かれた”ものは、すべて「舞台」に持ち込まれていた。お笑いであろうが演劇であろうが、“タブー”がほぼなく、観客と演者が一つの空間を共にし、そこを訪れた人しか知らない“共犯関係”を築き上げる。それが舞台だった。だが近年、“弾かれた”ものは「動画」に移行し始めている。そんな時代のなか、過激さを売りに「舞台」で勝負し続けているのが、久本雅美、柴田理恵らが所属するWAHAHA本舗。旗揚げから35年、久本、柴田はどんなにテレビが忙しくても、脇目も振らず、必ず「舞台」に帰ってくる。その理由はなんなのか。2人に話を聞いた。

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◆「WAHAHAは自分の骨格であり、血であり、肉。やめるなんてありえない」

 今年5月、3年ぶりに全体公演の開催を決定したWAHAHA本舗。前回、“最後の全体公演”と銘打ち、盛大に“ラスト”の全国ツアーを行っていたはずだった。だがそのツアーのさなか、移動中のバスの中で柴田理恵と久本雅美は主宰で演出家の喰始に「本当にもうやらないの?」と迫り、喰もまた、「絶対、やりたいって言うと思っていた」と、次作への意欲を燃やしていたという。
「WAHAHA本舗は自分の骨格であり、血であり、肉。自分の人生と笑いはすべてWAHAHAから発生しているものなので、WAHAHAがなくなるということは、自分のベースがなくなるということだから、ありえません」(久本)

 毎回、ゼロから自分たちで立ち上げるというWAHAHA本舗のステージ。現在、テレビに映画に舞台にと多忙を極める2人だが、テーマを決める段階から制作に携わっているからこそ、WAHAHAの舞台を「今、いったい何に対して自分は興味があるのか、何をやりたいのか、どうしたらお客様に喜んでもらえるか、自分とちゃんと向き合える場」(久本)、「自分の原点はどこか、必ず立ち返らせてもらえる場」(柴田)と表現する。
「WAHAHAにはWAHAHAにしかできないことがあるので、やっぱりWAHAHAは特別な場所だなって思うんです」(柴田)

 劇団の立ち上げから参加して約35年間、変わらぬWAHAHA愛を持ち続けている2人。しかし、年月を積み重ね、変わったこともあると言う。
「みんな進化していることです。最初の頃は、ワイワイやっているように見えて、実は全員、自分のことで必死でした。でもだんだん、梅垣(義明)は梅垣の、柴田さんは柴田さんの面白さや輝き、そして“ならでは”の世界が作り上げられてきたなって。本当にみんな、味が出たなって思うんです」(久本)
「昔からWAHAHA本舗は個性豊かだねって言われたけど、その個性がより特化してきているのは間違いないですね。あれは久本にしかできないなとか、梅ちゃんにしかできないなとか、これは私にしかできないんだろうなとか、お互いにお互いを尊敬して見られるのもWAHAHAならではのいいところだなって思います」(柴田)

 さらに観客がそれを認めてくれていることも「最大の進化」と久本は目を輝かす。
「箸にも棒にもかからなかった不器用な人間が集まってやってきましたが、全体公演では、お客様が、梅ちゃんも柴田も久本も佐藤(正宏)もみんな揃って出演していることに喜びを見いだしてくれているのも感じるので、それは偉大な進化だと思います」(久本)