広瀬八段 気骨感じた静の手

広瀬八段 気骨感じた静の手

 ◇第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第5局第1日(2020年3月5日 大阪市中央区・KKRホテル大阪)

 【第1日のポイント 関口武史】2勝2敗の五分で迎えた大阪決戦。戦型は矢倉、そして両者息を合わすように「脇システム」の同型に進んだ。対局者共に想定の戦型だったが渡辺が新趣向を見せ午前中から未知の局面へ入る。

 午後に入ると▲1五歩と端を絡め▲2四歩~2五歩(A図)とさらに攻勢を強める。

 この局面では動静2つの対極な選択肢が考えられる。最強の応手は△3三桂の動の手。以下▲1七桂△1四歩▲2四歩△1五歩▲2五桂と進む。先手香損だが全軍躍動の変化で互角。一方、本譜広瀬の選択した△2五同歩が静の手。以下銀交換を甘受し穏やかな流れにして、将来的には不安定な渡辺の1五香に狙いを定めている。

 89分の長考で泰然と構えた広瀬に、渡辺の猛攻を受け止める気骨を感じた。(スポニチ本紙観戦記者)