渡辺謙「Fukushimaをポジティブなワードに」佐藤浩市と世界にアピール

引用元:スポーツ報知
渡辺謙「Fukushimaをポジティブなワードに」佐藤浩市と世界にアピール

 俳優の渡辺謙(60)、佐藤浩市(59)が4日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で会見し、海外メディアに映画「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」(6日公開、若松節朗監督)をアピールした。

 東日本大震災で被害を受けた福島第1原発で命がけの対応をした作業員たちを描いた物語。原発で陣頭指揮を執った吉田昌郎所長(享年58)を演じた渡辺は「みんなの記憶の中に多く残っている方。共通項としては背が高いくらい。コピーしても仕方ないので、生まれや育った環境、クラブ活動もリサーチした。でも、一緒にお仕事をした方に当時、どういう対応をしていたのかを聞いたことが一番役に立った」と語った。

 原発の当直長・伊崎利夫を演じた佐藤とは映画「許されざる者」以来、7年ぶりの共演。渡辺は「佐藤浩市が伊崎をやると聞いて、自分が出演するべき作品だと思った。託すことに値する素晴らしい作品だと思った」と信頼を明かし、佐藤は「年齢がほぼ一緒で40年近く、ものづくりをしている。信頼関係ですね。こういう言い方をすると、薄っぺらいかな」と照れ隠しで笑わせた。

 リアリティーを追求し、忖度(そんたく)なしに真実を描いた。海外の記者からの「東京電力や日本政府から圧力はなかったのか?」という直球質問に若松監督は「僕のところには、何も聞こえてきていない。政府からの圧力はまったくなかった」と断言した。

 配給するKADOKAWAの角川歴彦会長(76)は津川雅彦さん(2018年死去、享年78)から震災を題材にした映画の企画を持ち込まれていたことを明かした。「津川さんから提案を受けた時、難しいと思ったけど、この原作と出会って、津川さんの夢を実現したいと思った。映画なら真実を描けると。出版人でありながら、映画に尊敬の念を持っている」と思いを語った。

 新型コロナウイルスの影響で京都(5日)、東京(7日)の舞台あいさつが中止になったが、6日から予定通り全国公開される。海外でも73の国と地域での公開が決まり、渡辺は「Fukushimaという言葉がポジティブなワードとして世界に広がっていくことを願っています」と呼びかけた。 報知新聞社