幻に終わった、4つの『日本沈没』。2020年アニメ化の前に知っておきたい、映画化の歩み

引用元:マグミクス
幻に終わった、4つの『日本沈没』。2020年アニメ化の前に知っておきたい、映画化の歩み

 映画『夜は短し歩けよ乙女』(2017年)や現在放送中の『映像研に手を出すな!』(2020年)などを手掛ける湯浅政明監督によるアニメーション作品『日本沈没2020』が、今年2020年からNetflixにて配信されます。

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 原作は小松左京氏の代表作『日本沈没』で、これまで2本の実写映画、TVドラマ、ラジオドラマ、マンガなどさまざまなメディア化がなされてきました。しかし『日本沈没』には、実現せずに終わってしまった映画化企画がいくつも存在します。今回は幻に終わった『日本沈没』の映画化企画を紹介していきましょう。

 まず紹介したいのが、大映で企画された『日本列島沈没』です。もともと大映は架空の東京大地震を題材にした特撮映画の企画を考えていましたが、小松左京氏がこの種の小説を執筆しているという情報を得て接触を試みます。小松氏と大学の同窓だった太田昭和監督を通じて、後に『日本沈没』として発表される執筆途中の原稿を借り受け、『日本列島沈没』の企画会議を進めていきました。

 1971年11月に大映の社長・永田雅一氏が、翌年の目玉作品として『日本列島沈没』の製作を発表。しかしこの発表は企画会議のメンバーへ連絡がなされていなかった上に、原作者側との正式な契約も交わされていない段階でのものだったのです。当時の日本映画界は斜陽であり、大映も例外ではなく厳しい経営状況にありました。結局大映は『日本列島沈没』を製作する前に、58億円の負債を抱えて1971年12月に倒産してしまうのです。

 その後、1973年3月に光文社から小説『日本沈没』の上下巻が出版され、累計400万部の大ベストセラーを記録。映像化権は東宝映像の田中友幸氏が獲得し、同年12月に東宝映像・東宝映画の提携作品として映画『日本沈没』が公開されます。映画『日本沈没』も配給収入20億円(興行収入は約40億円)、観客動員数650万人を記録する大ヒットなりました。