損害2000万円超…公演中止ギリギリの判断/解説

引用元:日刊スポーツ

新型コロナウイルスの感染拡大が演劇界を直撃した。東京・帝国劇場の堂本光一(41)主演「Endless SHOCK」が28日から3月10日まで、東京・歌舞伎座「三月大歌舞伎」も3月2日の初日から10日まで公演中止を決めた。また倉科カナ(32)の主演舞台が公演そのものがすべて取りやめとなった。

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解説 公演の中止は、演劇界にとってギリギリの判断だった。感染が拡大する中で当初、内部で検討はしたものの全体的に様子見ムードだった。潮目が変わったのは27日に政府が大規模イベントの中止や延期を要請し、音楽ライブなどの中止が決まったことだった。28日になって東宝、松竹など大手興行会社も傘下の劇場の公演中止を発表し、そのほかの劇場も続いた。

帝国劇場、歌舞伎座などの定員は2000人近くあり、単純計算で1回の公演を中止すれば2000万円を超える損害となりうる。公演日程はすでに決まっており振り替えや延期はできないため、チケットはすべて払い戻しとなり制作側の損害となる。現段階で、演劇界全体では数十億円の損害が発生するとみられる。

演劇界がこぞって公演を中止したのは11年3月の東日本大震災以来。その中で公演続行した劇場には「こんな時になぜ公演をするのか」と批判が相次いだ。今回の軒並みの中止決定には批判を避ける狙いもあると推察される。