円満退所の中居正広にはアイドル界のタブー破る革命も期待

円満退所の中居正広にはアイドル界のタブー破る革命も期待

【芸能界クロスロード】

 タレントの独立は待遇問題などネガティブな話が付きまとう。退所者の多いジャニーズ事務所もしかり。これまで退所に際してはFAXによる報告でメディアに対応してきた。異例だったのは2年前の関ジャニ∞の渋谷すばるの脱退・退所会見。メンバーも同席しての会見は重い空気が漂い、後にメンバー間の確執なども報じられた。

 独立を巡る負のイメージを払拭させたのが先日の中居正広(47)の会見だった。多くのメディアを入れて一応、NG質問なしのオープンな会見。自ら演出した会見の舞台に立つのも本人ひとり。バラエティーで鍛えたトーク術と間の取り方をいかんなく発揮した。

 はしゃぎ方も演出の一環かどうかはわからないが、舞台が演出と演者がハマれば絶賛されるように、中居もメディアに大きく取り上げられ、「素晴らしかった」のコメントが続出した。

「ジャニーズの基本はファンに報告ですが、すでにアイドルを卒業している中居は“これからひとりでやっていきます。よろしく”と業界内に対しての挨拶も兼ねた会見だったと思う。会見で好感度も確実にアップ。今後の仕事につながった。“しっかり者”といわれているだけのことはある会見でした」(テレビ関係者)

 個人事務所は仕事を円滑に運ぶために大手事務所の傘下に入るものだが、中居はまさしくひとりだけの事務所「のんびりな会」を設立。先に退所した元メンバーの3人はテレビ局側の暗黙の忖度で地上波に出られない時期もあったが、公正取引委員会の監視が強化され余計な心配がなくなったのも後押しになっただろうが、それ以上に大きいのが中居のタレントパワー。「出る杭は打たれる」芸能界だが、中居はすでに出過ぎた杭。打ちようがない。ヘタすれば打つほうが痛手を負う。

 独立のタイミングもベストだった。ジャニー喜多川氏が昨年、逝去。後輩の滝沢秀明が副社長に就任するなど事務所は今年から新体制で本格的に動き出した。アイドルに特化した事務所はジュニアを育てデビューさせることが依然として主体。中居のマネジメントとなれば方針を巡り衝突も起こりやすい。すでに「中居なら顔で仕事が取れる」タレント。十分、ひとりでやっていける。ひとりになるメリットは自己判断で仕事を取捨選択できることだが、どんな仕事を選択していくのかも注目される。元メンバーの3人やジャニーズ現役からOBまで、ある種のタブーだった共演を必要に応じて中居が実現させるかもしれないので興味深い。前例のない退所会見を行った中居なら、アイドル界のタブーを破るような革命も期待したい。

 中居の底抜けに明るい退所会見は所属タレントたちにも少なからず影響を与えたはず。独立を囁かれている人も少なくないなか、近々にも次なる退所者が現れるともみられている。中居の退所会見から改めて思う。ジャニーズはある種のアイドル学校の一面も持つ。乃木坂46のように「卒業」という形で祝福されて送り出されて退所するのが理想の形だろう。

(二田一比古/ジャーナリスト)