フィギュアGPファイナル、ここが見どころ【女子シングル編】~松岡修造氏に聞く~

引用元:オリコン

 12月5日~8日。フィギュアスケートの3大大会の一つ、「グランプリファイナル」(以下、GPファイナル)がイタリア・トリノで開催される。10月から6ヶ国を転戦したグランプリシリーズ(以下、GPシリーズ)の成績上位6人による頂上決戦。日本からは男子シングルスに羽生結弦(24)、女子シングルスに紀平梨花(17)が出場する。2006年冬季オリンピックで荒川静香が金メダルに輝いた会場で、世界一の頂点に立つのは誰か。テレビ朝日の番組メインキャスターの松岡修造氏に、見どころなどを聞いた。

【写真】ガッツポーズを見せてくれた紀平梨花選手

 女子は、6人中4人がロシア勢。そのうちの3人は今シーズン、シニアデビューしたばかりの新世代だ。“3種類の4回転ジャンプ”を武器に、カナダ大会でフリー・トータルの世界最高得点を更新、ロシア大会も優勝したアレクサンドラ・トゥルソワ(15)。フランス大会優勝、日本大会では紀平の持つショートの世界最高得点を塗り替えて優勝したアリョーナ・コストルナヤ(16)。アメリカ大会、中国大会を制したアンナ・シェルバコワ(15)。

 軽やかに4回転、トリプルアクセルを跳ぶ同じロシアの新世代の台頭に押されながらも、平昌五輪の金メダリストで現世界女王のアリーナ・ザギトワ(17)もGPファイナル進出を決めた。さらに、米国からブレイディ・テネル(21)。そして、日本の紀平が2年連続のGPファイナル金メダルを狙う。

 昨年のGPファイナルで優勝し、一躍脚光を浴びた紀平。2年連続のGPファイナル金メダルを狙う今シーズン、圧倒的に安定感が増した“トリプルアクセル”に加え、表現力やスケーティングなど総合力の高さをみせ、GPシリーズ2戦(カナダ大会・日本大会)ともトータル230点を超えるハイスコアで2戦連続、2位で表彰台に上がった。GPファイナルでは“4回転ジャンプ”に挑戦するかが大きな注目となる。最強ロシア勢の連勝を止めることが出来るのか。

■ロシア勢による“4回転祭り”になるのは必至

――GPシリーズ6戦の結果をみて、どう思われますか?

【松岡】女子に関しては「驚き」の一言ですね。6つの大会で優勝した3人、コストルナヤさん、トゥルソワさん、シェルバコワさんの3人が、すべてシニア1年目なんて、いままでになかったでしょう。しかも、軽々と4回転を跳んでいる。彼女たちは小さい頃から世界のトップになるために4回転の練習をしてきた新世代。だから4回転を跳ぶことはもはや特別なことだと思っていない。そこが一番の強さですよね。

 バレエの練習もとことんしてきていますし、芸術の国ロシアならではの表現力がありますよね。アスリートとしても、フィギュアスケーターとしても、舞台女優のような表現者としても見るものを魅了する。それはもう、悔しいくらいに。どうしても応援しちゃいますよね。

――女子も“4回転ジャンプ”を跳ばないと勝てない時代が来たということなのでしょうか?

【松岡】小柄で軽い選手の方が有利なのは明らかです。同じロシア勢のザギトワさん、(エフゲニア・)メドベージェワさん(20)と比べても、新世代の3人はジャンプの回転スピードが速くて、迫力がありますよね。でも、女子が4回転を跳ぶのが当たり前になると思ってはいけない、と自分に言い聞かせています。4回転ジャンプを跳ぶか、跳ばないか、そういう見方になってしまったら、フィギュアスケートの魅力の多くが失われてしまうような気がするから。

 ただ、今回のGPファイナルは“4回転祭り”になるでしょうね。4回転の当たり年、見逃せないGPファイルとなるのは間違いないですね。