「パラサイト」ポン・ジュノ監督、新型コロナウイルス過剰反応に警鐘「人間心理が作り出す不安や恐怖の方が大きい」

引用元:中日スポーツ
「パラサイト」ポン・ジュノ監督、新型コロナウイルス過剰反応に警鐘「人間心理が作り出す不安や恐怖の方が大きい」

 英語以外の外国語映画で初めて米アカデミー賞作品賞を受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督(50)と主演俳優ソン・ガンホ(53)が23日、東京の日本記者クラブで来日会見を開いた。

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 映画は韓国の格差社会を題材に貧困一家が富豪一家に“寄生”していく姿を描いた悲喜劇。アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4冠を獲得。日本でも22日時点で220万人超を動員、興行収入も30億円を突破して日本公開の韓国映画第1位の歴代記録を15年ぶりに更新した。

 ポン監督は「どの国のお客さんも熱く反応してくださり、うれしく思っている」と感謝。「世界の二極化で私たちが抱えている不安や恐れを映画の中で表現してみたかった。貧富の格差の前に、人間に対する礼儀が失われた時にどういうことが起きるか描いた映画」と説明した。

 ソンは「約20年前に韓国映画が日本でも多く紹介されたが、その後交流が少なくなってしまった。今回の作品をきっかけに、またあのころの状態が戻ってきてほしい」と期待していた。

 ウイルスを題材にした映画「グエムル―漢江の怪物―」(2006年)も大ヒットしたポン監督は、現在の新型コロナウイルスについての質問に「浦沢直樹さんの『20世紀少年』が思い出される。ウイルスが体の中に入る恐怖以上に、人間心理が作り出す不安や恐怖の方が大きい。過度に反応して人種的な偏見も加わると、もっと恐ろしいことが起きてしまう」と警鐘を鳴らした。