ロリ枠はセンターになれないものなのですか!? 「推しが武道館いってくれたら死ぬ」7話 悲喜こもごもな人気投票の結果発表

引用元:ねとらぼ
ロリ枠はセンターになれないものなのですか!? 「推しが武道館いってくれたら死ぬ」7話 悲喜こもごもな人気投票の結果発表

 大好きなアイドルがいる。彼女は生きているだけでファンサ。だから人生を賭けて推します! 「推しが武道館いってくれたら死ぬ」は地下アイドルChamJamの市井舞菜と、彼女を命がけで推すドルオタえりぴよを描いた、情熱的でコミカルな物語。

【7話の名場面を振り返る】

 7話でChamJam人気投票の結果がついに発表されます。えりぴよの生命を賭けた投票による舞菜の追い上げと、骨折による順位急落。空音の彼氏デマによる人気暴落、れおとくまさの特別な信頼関係、ゆめ莉と眞妃のお互いを尊重する思いなど、多様な思惑が入り交じり混戦状態。心が疲弊する人気投票の結果やいかに。

横田文、迷走の日々

 えりぴよがガチ推し中の市井舞菜は、ずっと人気投票で最下位。握手会もほぼ人が来ない。ぶっちゃけえりぴよが騒ぎすぎて他のファンが近付けない…という理由もあるのですが、舞菜自身は人気上位か否かにはそこまで血眼ではありません。

 一方で執着激しいのが、ChamJamのロリ担当、横田文(あや)。ツインおさげで身長はミニマム。ChamJamの中では年齢はみんなとさほど変わらない18歳ですが、妹的立ち位置で奮闘中です。ステージ上ではキュートに振る舞いつつ、ふと気を抜くと跳ねっ返りで気の強いところがにじみ、でも素が優しいのでツンデレ気味。ぼくの推しです。

 ピンならメインヒロインはれる性格とビジュアルの子じゃないかと思うのですが、問題はChamJamというグループにおいての人気投票だということ。常にブービー賞の6位。どうしても上位になれないどころか、下位グループ脱出も難しい。

 CDの売上枚数によって人気投票が行われるのですが、文は焦りのあまり、自分で自分のCDを買って加算する、という悲し過ぎる行動も取っています。

 CDの枚数は他からでもあからさまに見えてしまうため、山の高さが減らない状態は地獄絵図。舞菜は最下位とはいえ、えりぴよが全部買って帰るのは誰しもが知っているので、実質山積みで残りがちなのは文。これは見ていて心臓が痛い。

 なぜ人気が出づらいのか。そこは文よりもオタクの方が冷静に分析し、真実を突いていました。

 オタク「あーやは妹キャラだからねー」「まあ確かにロリでセンターは珍しいかもとは思う…かな…」

 多人数アイドルユニットの場合、ロリ枠……身長が小さくて童顔で幼い様子が売りの子は、メインになりづらい。確かに小さな文がセンターになって、正統派アイドルのれおや空音が支えている様子は、なくはないけど想像が非常に難しい。適材適所というやつです。ってことはこのままでは永遠にセンターになれないのでは?

 プラスに捉えれば、妹担当として満遍なくChamJamのファンに愛されている、とも取れます。満遍ないが故にみんなの一番になれない(2番目3番目になりがち)のは悲劇ではあるのだけども。

 オタクたちの声が、優しいが故に非情。「オレらは応援してるよ! ロリ枠はあーやだけだし」「ロリ枠貴重だからねー」。属性ありきの人気は、需要が頭打ちになりやすい。なにかプラスして伸びねば、と焦る彼女の気持ちは分からんでもない。でも「枠」って「プロフェッショナル」という意味でもあるんですよね。プロのロリ、大事。

 文の迷走が加速します。おさげスタイルを辞め、巻き髪、豹柄、濃いメークのセクシースタイルに。胸は控えめなので、谷間はサインペンで書きましたとさ。童顔故に何一つ似合っていない。

 このままステージに登壇。ChamJamメンバーもファンもドン引き。ざわつきの中、空気を読まない寺本優佳の「あやちん、イメチェン超スベってんなー!」が、救いになったようにも見えます。ちなみにすぐ怒る文と、思ったことを脊髄反射で口に出しがちな優佳、性格は真逆ですがお互い直球に生きているのがいいのか、「トムとジェリー」的に仲良しです。

 結局ロリキャラに戻り、人気投票は振るわないまま。結果は6位。いつも通り。ステージの上なのに表情筋が死亡中。ひでえ顔を見せてしまう彼女、これはChamJamだと他にいないノリ。面白いじゃん君。

 嫉妬心と野望が強く、勝ち負けにこだわり、怒りの感情は隠しきれずダダ漏れ。メンバーカラーの緑も望んだわけじゃないけど、回ってきたから仕方がなく受け入れ中。一方でロリ枠としてChamJamの中で役割をこなし、ぶりっ子を極めるべく技術を身に着け努力中。ChamJamにしては珍しく愚痴も平気でこぼすけど、妹キャラと素な感じが保護欲がくすぐられるのか、コアなファンがしっかり付いている。あーや、オレは好きだぞ。

 最悪な顔をさらしつつも、ちょっと懐かしさすら感じるキャピるんモードに戻れるのが横田文というアイドル。ロリ枠という「枠」にはめられるとしんどいかもしれないけど、需要があるならちゃんと応えるという姿勢たるやよし。

 ChamJamメンバーは割といい子ぞろいで、みんな裏表なく誠実。性善説の塊みたいなアイドルグループですが、横田文はアイドルとして頑張りたいが故に、憤りが露骨に描かれているキャラです。メイド喫茶で「男のウワサがでてる空音の方が私より順位が良いなんて、いみわかんない!」と自分のファンに言ってしまう様子は、アイドルとしてはかなりアウト。これは空音のウワサを真に受けた故の、アイドルとしての正義の怒りでもあるのですが、幼さで少々ゆがんでいます。

 前回のえりぴよとのメイド喫茶でのやりとりと、今回の人気投票にかける激しい思いの描写で、「気の強いロリ枠・横田文」というビジュアルが強調されました。ちょっと捻じくれた性格に見える彼女ですが、激情にはちゃんと理由があります。それは原作のもう少し後で描かれているので、ぜひチェックしてみてほしいです。クセの強い子だからこそ、彼女の心の中の本当を知れば、きっと好きになっちゃうと思う。