チケットが取れない講談師・神田伯山、「大看板」復活の裏に師匠あり/芸能ショナイ業務話

チケットが取れない講談師・神田伯山、「大看板」復活の裏に師匠あり/芸能ショナイ業務話

 11日に講談界の大名跡、神田伯山を襲名し、真打ち昇進した六代目を取材しました。

 今、チケットが取れない講談師として知られる六代目の節目だけに、新宿末広亭には前日からファンが並び、上演前の長蛇の列は、関係者がスマホで撮影したほどでした。

 ひょうひょうとした姿と、講談時に研ぎ澄まされた空気を醸す六代目が、真打ち昇進襲名会見や披露宴で口にした師匠の言葉を紹介します。

 釈台を扇でたたきながら話術で物語を聞かせる講談は、名人といわれた初代らの活躍で明治時代に盛んになりました。五代目までが名人、と称されているのが伯山です。

 36歳にしてその大名跡を継ぐ六代目ですが、看板を上げると客が集まるという「大看板」に成長しました。

 44年ぶりの復活の裏には当代の師匠で昨年、人間国宝に認定された神田松鯉さんの存在があります。

 2007年、松鯉さんに入門。「講談の『こ』の字も知らなかった」という当代が師匠と交わした2つの約束がありました。「必ずやめてはいけない」「必ずとってよかったと思う弟子になれ」。

 その言葉の意味を「いろんな人にこれから力を借してもらうにあたって、やめてはいけない」「とってよかった、と思われる弟子に、まだなっていません。伯山の山は、まだまだ重い名前。皆さんのお力をもって20年、30年後に『あいつが継いでよかった』と思っていただけるような六代目になります」と説明し、伯山のいただきを目指すことを誓いました。

 「講談を広めたい」という一念で、ひたむきに芸道を邁進(まいしん)する六代目。真打ち昇進襲名興行のチケットはすでに完売していますが、ラジオやテレビなどで、その雄姿をごらんください。(くのいち)