「翔んで埼玉」武内英樹がブルーリボン作品賞に「狐につままれた気持ち」

引用元:映画ナタリー
「翔んで埼玉」武内英樹がブルーリボン作品賞に「狐につままれた気持ち」

第62回ブルーリボン賞の授賞式が本日2月18日に東京・イイノホールで行われ、作品賞に輝いた「翔んで埼玉」の監督・武内英樹が登壇した。

【写真】プレゼンターのコメントを恐縮しながら聞く武内英樹(右)。(メディアギャラリー他4件)

魔夜峰央によるマンガを実写化した本作は、埼玉県民などが迫害を受ける架空の世界を舞台とするコメディ。紋付き袴をまとって登壇した武内は、プレゼンターが「埼玉県を徹底的にディスり」「県民の郷土愛にも火を付け」と賞状を読み上げると、恐縮の面持ちで何度もうなずく。スピーチでは「こんなに歴史あるブルーリボン賞を『翔んで埼玉』が獲ってしまっていいんだろうかと、狐につままれた気持ち」と心境を語る。

格差を描く物語であることから、制作にあたっては何度も壁に阻まれ企画が頓挫しかけたこともあると明かした武内。「東映さんにいろいろとブロックしていただいたことと、埼玉県の人たちの『注目されたいんだ!』という熱い声援のおかげで作ることができました。本当にありがとうございました」と感謝を伝えた。司会を務めた舘ひろしは「ディスりまくったにもかかわらず、興行収入37.6億円のうち約10億円が埼玉から。このことについてどう思われますか?」と質問。武内は言葉を選びながらも「よっぽどマゾというか……(笑)、寛大な心を持った人々なんだなあと感じました」と話す。

「宮本から君へ」で監督賞を受賞した真利子哲也は、文化庁の研修制度でアメリカ・ボストン在住のため欠席。同作でプロデュースを担当した佐藤順子が代理で出席し、真利子からのメッセージを読み上げる。真利子は書面にて「主演の池松壮亮さんと特別長くこの映画に関わって、頓挫しても立ち止まらず、映画を完成させてやろうと鼓舞し合ってきました」と振り返り、「『宮本から君へ』は、過去の映画への感謝と同時に、今を生きる僕らの思いをこの先の誰かにつないでいくのだという魂を持って臨んだ作品です。ここまでいろんな人に迷惑をかけ、手助けされて完成した作品がこのような形で評価していただけたことを心からうれしく思います」と喜んだ。

外国作品賞に選ばれた「ジョーカー」からは、配給を担当したワーナー ブラザース ジャパンで社長兼日本代表を務める高橋雅美が登壇。高橋は「観ていただいてわかるように、決して明るい映画ではございません。作るときから社内でもいろいろな物議がありましたが、こういう映画を多くの皆さんに観ていただいたことで、映画とは時代を映す鏡なんだと思いました」と述べた。

全受賞結果は下記の通り。

■ 第62回ブルーリボン賞 受賞結果
□ 作品賞
「翔んで埼玉」

□ 外国作品賞
「ジョーカー」

□ 監督賞
真利子哲也「宮本から君へ」

□ 主演男優賞
中井貴一「記憶にございません!」

□ 主演女優賞
長澤まさみ「コンフィデンスマンJP」

□ 助演男優賞
吉沢亮「キングダム」

□ 助演女優賞
MEGUMI「台風家族」「ひとよ」

□ 新人賞
関水渚「町田くんの世界」