『コピック』インクがリニューアル アナログ全盛期の思い出を漫画家に聞く

引用元:マグミクス
『コピック』インクがリニューアル アナログ全盛期の思い出を漫画家に聞く

 2020年2月13日(木)、株式会社トゥーマーカープロダクツは人気アルコールマーカー「コピック」シリーズの詰替用インク「コピックインク」を2020年4月に発売することを発表しました。

【画像】漫画家・種村有菜さんも愛用「コピック」(7枚)

「コピック」はプロの漫画家やイラストレーターにも愛用されているマーカーです。カラーバリエーションが多く、鮮やかな発色。繊細なタッチやにじみが美しく表現でき、それまでカラーインクなどを使用していたクリエイターが続々と愛用し始めました。

 デジタルでの作画が主流といえる近年でも、愛用者の多い商品です。

「コピック」の特徴は、インクが切れてしまっても補充ができるところ。さらに、ペン先も取り替えられ、長く使用できます。

 これまでの補充液「コピックバリオスインク」は、半透明のボトルで残りの容量が若干分かりづらく、補充の作業も手間がかかるものでした。リニューアル登場した「コピックインク」は透明のボトルで内容量が分かりやすく、補充もスムーズに行なえます。

 また、見た目も美しいことから、ネット上では「かわいくてきれい」「早く欲しい!」という声が聞かれます。

 その一方で、インクの内容量はこれまでの「コピックバリオスインク」が25mlであったにもかかわらず、新登場の「コピックインク」は12mlと半分以下に。価格は据え置きのため実質、値上げとなり、「画材費がかさむのが辛い」「デジタル主流のご時世だから仕方ないのかもしれないけれど……」と当惑する声もあがっています。

「コピックインク」の発売を受けて「コピックバリオスインク」は生産終了となり、早くも品切れのカラーも出始めています。 『コピック』インクがリニューアル アナログ全盛期の思い出を漫画家に聞く 野広実由先生の著書『花野さんとの縁結びは難しい』(ぶんか社)

「コピック」全盛期に活動していた漫画家の反応は?

 1993年に登場した「コピックスケッチ」はペン先がブラシ状で、漫画家にとって、とても使い勝手のいいものでした。この時期から、急速に人気が高まっていきます。

 デジタルでの作画がまだ一般的ではなく、「コピック」の人気が広まった頃について、エニックス(現:スクウェア・エニックス)から発行された『ドラゴンクエスト 4コマ漫画劇場』で活躍した漫画家にお話を聞きました。

 現在『花野さんとの縁結びは難しい』『やきもの九十九の素敵な食卓』を連載中の野広実由(当時のペンネームは野原すずかけ)先生は、漫画家デビューして間もない当時「もったいなくて、かすれるまで使っていた」とのこと。新「コピックインク」については、「気軽にインクが補充できて良いですね、発売が楽しみ」とコメントしてくれました。

 また、「月刊少年ギャグ王」で連載された『半熟忍法帳』が人気を博した新山たかし先生は、「コピックスケッチ」登場前に「コピッククラシック」のかなりの数をセットで購入していたとのこと。「コピックスケッチ」が発売され、「しまった、こっちの方が使いやすい……ぐぬぬ」となるはめに。必要な時は先端を交換して使っていたそうですが、買い換えるよりはましなものの、高くついてしまったという、苦い思い出があるそうです。

 発売当時のインク補充は、ペン先を取り外し、針状の「コピック バリオスブースター」を「コピック」本体に刺す必要がありました。使用後は専用のアルコール液で洗浄してから他のカラーを入れるという流れで、かなりの手間がかかります。

 新山たかし先生は、「慣れない頃は入れすぎて漏れてしまいました……」「クラシックより、スケッチの方が漏れやすかった気がします」とコメント。補充の思い出も切ないものだったようです。

 クリエイターにとって、画材は生命ともいえます。デジタル化の波のなかでも、多くの人が愛用している画材はできるだけ長く残ってほしいものです。 マグミクス編集部