烏川耕一に聞いた吉本新喜劇注目の3人/芸能ショナイ業務話

烏川耕一に聞いた吉本新喜劇注目の3人/芸能ショナイ業務話

 「土曜の昼といえば?」

 この問いに関西では「吉本新喜劇」と返答があるのは容易に想像できる。「新喜劇は箱根の山を越えられへんねん」とローカル感は否めなかったが、それはもう過去の話。60周年イヤーの昨年は全国47都道府県とアジア5カ国を回るワールドツアーを開催し、約15万人を動員した。

 座員も100人を超える大所帯になり、個性の強い芸人も多いが、関西に比べて東日本での新喜劇に対する知名度はまだまだ。そこで「2020年期待の新喜劇座員」を紹介すべく、「ひょっとこネタ」でおなじみの烏川耕一(47)に聞いた。

 まず挙げたのが、新名徹郎(37)。吉本総合芸能学院(NSC)2003年卒業の18年目。08年に第4個目金の卵オーディションに合格し、新喜劇入団した。烏川とは3人芝居「ひょっとコメディー」などで共演してきた。

 烏川が新名を推す理由は「出番はないのに毎日、劇場で見るんです。毎日YouTube上げてる。新喜劇よりYouTuberになるんちゃうかというくらい頑張っている」と説明した。

 新名は昨年11月から「にいなチャンネル」を立ち上げ、毎日動画を配信。新喜劇の女性座員楽屋のお手伝い体験など新喜劇の裏側を撮影したり、このチャンネルでしか見られない新名座長による「5分新喜劇」などをアップ。新喜劇ファンには楽しめる内容となっている。

 烏川によると、新名はパソコンの購入や撮影に協力してくれた後輩に食事をごちそうするため「貯金なくなった」と嘆いているそうだ。烏川は「うまく火をつけて、有名YouTuberになって、早く新喜劇に帰ってきてもらいたい」とエールを送った。

 次に挙げたのは、重谷ほたる(24)。16年に入団した若手女性座員で身長153センチ、57・5キロ、重厚感ある太ももが特徴でバレエやダンスの経験から舞台上でも披露する。烏川が注目するのはメンタル面。芸人に大事な要素だ。

 「スベっても全然めげない。(島田)珠代姉さん、森田まりこと空気感が似ているとは言われていたけど、あの明るさ、ガッツの強さは必要やなと思いましたね」

 さらに最近のエピソードも披露。「たまたまできたネタなんですけど、自分の足をさらけ出して、指さして『セルライト!』って言うだけ。女の子がこんな恥ずかしいこと堂々やるのはすごい」と絶賛。最初はスベっても、同じテンションで重ね続けることで次第に客にも受け入れられるようになったという。

 そして最後に挙げたのは、座長を勇退した内場勝則(59)。最近では新喜劇の枠を超えて、NHK連続テレビ小説「わろてんか」、TBS系「陸王」「下町ロケット2」などドラマや舞台に引っ張りだこ。そして、3月19日からは梅田芸術劇場メインホールで全世界で大ヒットしたミュージカル「ボディガード」に出演する。

 烏川も「新喜劇座員としての可能性を広げてくれているので、僕たちも続けるようにしたい」と感謝しきり。座長としての内場も「ちゃんと芝居を作る感じで、後輩の意見も取り入れてくれるし、やりやすかったです。アドリブ入れても拾ってくれるし。ボケもツッコミも本作りも全部できるからスーパー座長。そうなろうと思って僕も頑張ってましたけどね」と振り返った。

 61年間、数々のレジェンドを生み出した吉本新喜劇。2020年も注目だ。(わたなべ)