北米ファミコン版『テトリス』で人類が初めて「幻の34面」へと到達。世界王者がクリア不可能とされた領域をさらに攻略する

北米ファミコン版『テトリス』で人類が初めて「幻の34面」へと到達。世界王者がクリア不可能とされた領域をさらに攻略する

 北米版ファミリーコンピュータ(NES、Nintendo Entertainment System)で1989年に発売された『テトリス』の世界王者「JdMfX_」ことジョセフ・サリー氏が、新たな大記録を打ち立てた。昨年2月の記録更新から1年後、人類がいままで誰も到達したことがないと思われるレベル34へとついに達したのだ。

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 ジョセフ・サリー氏は、NES版『テトリス』の世界大会「Classic Tetris World Championship」の2018年と2019年大会の優勝者としても知られている。大会で7度の優勝記録を持つチャンピオン、ジョナス・ニューバウアー氏を破った2018年大会は大きな話題となった。
 2019年大会では、『テトリス』の生みの親アレクセイ・パジトノフ氏が見守るなか、サリー氏と同じく後述のハイパータッピングと呼ばれる技術を使用する日本人のコーリャン氏と決勝戦で戦った。

 NES版『テトリス』を語る上で避けて通れないのが、そのハイパータッピングだ。『テトリス』にはDAS(Delayed Auto Shift)が設けられており、一度左右キーを入力するとまずその方向にテトリミノが動き、一定の時間を空けたあとにテトリミノがその方向に滑り出す。これは入力ミスを防ぐための処置ではあるが、レベルが進むにつれてテトリミノの落下速度が上がる『テトリス』において、DASによってテトリミノが動き出すまでの間は命取りになる。

 これを回避する技術がハイパータッピング。キーを押すと最初の1マス目はテトリミノが素早く進むので、左右キーを高速で連打すればDASの遅延を無視することができる。

 攻略が進められるまで、NES版『テトリス』の最終面はレベル29だと考えられていたが、このハイパータッピングを使いこなすプレイヤーがレベル29を突破。実はさらなるレベルが用意されていることがわかってきた。ただし、開発者としてはレベル29以上を攻略するプレイヤーがいるとは想定していなかったのか、レベル30からは「00」(レベル30)、「0A」(レベル31)、「14」(レベル32)、「1E」(レベル33)とゲーム中の表記が崩れていく。

 そして今回のサリー氏の記録により、その次のレベルは「28」(レベル34)と表示されるおkとがわかった。レベル34に至ったサリー氏だが、ゲームオーバー前に数ライン消しており、今後さらに記録を伸ばしていくことは想像に難くない。はたして『テトリス』の人類の限界点はどこなのだろうか。

ライター/古嶋 誉幸 電ファミニコゲーマー: