元フジ藤野良太P、独立後初ドラマがAbemaTVの理由「目指す方向性に共感」

元フジ藤野良太P、独立後初ドラマがAbemaTVの理由「目指す方向性に共感」

ダンスボーカルユニット・M!LKのメンバーで俳優の佐野勇斗と、モデルで女優の飯豊まりえがW主演する、AbemaTVのオリジナルドラマ『僕だけが17歳の世界で』(20日スタート、毎週木曜23:00~ ※全8話)。プロデューサーは、昨年6月末にフジテレビを退社した藤野良太氏で、『恋仲』『好きな人がいること』を彷彿(ほうふつ)とさせる“月9”の王道だったラブストーリーを新たなフィールドで手掛けることに注目が集まっている。

【写真】四千頭身ポーズを披露する飯豊まりえ

そこで、今作の成立経緯や、今後の展望などについて、藤野氏に聞いてみた――。

■若年層が熱狂するプラットフォーム

フジ退職後、初めてのドラマプロデュースとなるが、その舞台がAbemaTVだったのは「谷口(達彦AbemaTV制作局長)さんと5年くらい付き合いがありまして、『いつかAbemaTVでドラマを制作したい』と飲むたびに熱く語られていて(笑)。僕がフジテレビを退社することが公になったとき、最初にオファーのご連絡をくださったのが谷口さんだったので、やはり最初に声をかけてくれた方とご一緒したいと思ったんです」という藤野氏。

藤田晋社長とも会い、AbemaTVが目指すものとドラマにかける想いを聞き、「AbemaTVが目指す方向性に心から共感できましたし、そのために僕ができることがあるのなら貢献したいと思いました。若年層が熱狂している日本発のプラットフォームでコンテンツを制作することに意味があると思ったんです」と参画を決めた。

そのプロジェクト第1弾となるのが、今作『僕だけが17歳の世界で』。幼なじみの航太(佐野)と芽衣(飯豊)がお互いに“好き”という気持ちに気づくも、想いを伝えることなく突然航太が亡くなってしまい、7年後の季節外れの桜が咲く期間だけ航太が17歳のまま戻ってくるという“恋愛ファンダジー”だ。

■フィクションだからこそ描ける面白さ

藤野氏と言えば、『恋仲』『好きな人がいること』といったラブストーリーの話題作を手掛けてきたが、「独立後、初めての作品なので、まずは自分の得意分野で勝負したほうがいいなと考えたんです」といい、地上波からラブストーリーが減少し、医療モノや刑事モノが席巻する中、若者が恋愛モノを見たいという需要に応えようとしたという。

しかし、AbemaTVでは、『オオカミちゃんには騙されない』をはじめ、『恋愛ドラマな恋がしたい』『今日、好きになりました。』といった恋愛リアリティ番組が隆盛を極めており、「これまで月9でラブストーリーをプロデュースするときのコンセプトであった“憧れのライフスタイルを提示する”というのを、すでに恋愛リアリティが達成している」という事態が。

そこで、「フィクションだからこそ描ける面白さを追求しようと思いました。物語を見ることの高揚感を若い子たちに体験してもらうにはどうすればいいのかと試行錯誤してたどり着いたのが、“ファンタジー”だったんです。“恋愛リアリティ”を超えるのは、“ファンタジーラブロマンス”しかないなと。藤田社長から『とにかく切なくて泣ける作品を』とコンセプトをいただいていたので、“別れ”をテーマにして企画を考えていたときに、ふと思いついた企画コンセプトが高校生版『いま、会いにゆきます』(※)でした」と経緯を明かした。

(※)…「1年後の雨の季節に戻ってくる」と言い残して病死した妻が、梅雨のある日に夫の前に現れ、再び家族としての生活を過ごすストーリー。04年映画化、05年ドラマ化。

このテーマを“連続モノ”として描くことにも、「特に10代の子は、連続性のある物語を見るというドラマ体験をあまりしていないと思うんです。TikTokや、YouTubeなど短尺コンテンツで動画を楽しんでいる子たちに、連続して物語を見る楽しみを体験してもらえたらうれしいと思っています」と狙いがあるそうだ。