得意だった“特撮モノ” 「水木さんよりむしろ私のほうが“おたけんで”ました」 アニメソングの女王・堀江美都子伝説

引用元:夕刊フジ
得意だった“特撮モノ” 「水木さんよりむしろ私のほうが“おたけんで”ました」 アニメソングの女王・堀江美都子伝説

 【アニメソングの女王・堀江美都子伝説】

 アニメソングの女王、堀江美都子は、そのパワフルな声量を生かした楽曲で本領を発揮する。1975年、2作の特撮作品で主題歌やエンディング曲を手がけている。

 それが「仮面ライダーストロンガー」のエンディング曲「きょうもたたかうストロンガー」であり、「秘密戦隊ゴレンジャー」の主題歌「進め!ゴレンジャー」だ。

 前者は水木一郎、後者はささきいさおという、いまやアニソン界のレジェンドとなった2人とのデュエットである。

 「作品のなかでもヒーローだけじゃなく、ヒロインも登場するようになったので、だったら歌も堀江にデュエットさせようという大人の思惑ですよね。でも、自分的には少女ものより、こっちのほうが得意というか好きだったので、こんなの歌えるんだって、うれしかったですよ」

 曲は特撮ものらしく「トォー」や「ゴーゴゴー」というかけ声が入っている。おたけびだ。

 「そのころはデモテープとかなくて、楽譜をもらって覚えていくんです。で、オケ録りのときに仮歌を入れるんです。かけ声は楽譜に書いていることもあるんですが、その場のアイデアで決まることもありましたよ」

 このころのアニメソングは、テレビで流れるいわゆる「テレビサイズ」と、レコード化される「レコードサイズ」では別々にレコーディングされていた。

 「私たちは、テレビサイズに120%の力を入れろ、それがレコードにつながるんだと教えこまれていたので、1分ちょっとのテレビサイズのために全力で歌っていましたね」

 このときのレコーディングでは現場が熱かったことを覚えている。

 「とにかく熱かったですよ。東映だからかもしれないけど、スタジオの副調(整室)には、制作会社からテレビ局、スポンサーとか、ダークスーツの大人たちが何十人も詰めかけて。そっちのほうが熱いの。『かけ声をもっと!』とか『ゴー!とかトォー!とかもっと』って感じで」

 おたけびといえば、いまや水木の十八番だが「そのころは水木さんもそんなに“おたけんで”なかったですよ。むしろ堀江のほうが頑張ったこともありましたね」。

 そして彼女は、その名を世界に知らしめる曲に出合うことになる。

 ■堀江美都子(ほりえ・みつこ) 声優・女優。1957年3月8日生まれ、62歳。神奈川県出身。66年に「日清ちびっこのどじまん」で準優勝。69年に「紅三四郎」でアニメ歌手としてデビューする。

 以降、「キャンディ・キャンディ」「秘密戦隊ゴレンジャー」などアニメ、特撮ものでヒット曲多数。水木一郎、ささきいさお、大杉久美子とともに「アニメソング四天王」とも呼ばれる。

 2月12日に50周年記念のカバーアルバム「One Voice」とベスト盤「One Girl BEST」(ともに日本コロムビア)を発売。

 2月16日に50周年の記念ライブを「よみうり大手町ホール」で開催。