“引っ張り出してきたアイドル”「HellоYоuth」芸能界あきらめていた九州の少女6人『地元選抜』で夢実現

引用元:中日スポーツ
“引っ張り出してきたアイドル”「HellоYоuth」芸能界あきらめていた九州の少女6人『地元選抜』で夢実現

 スターを輩出してきた九州から、九州出身のみで構成するアイドルグループが現れた。26日に「Jump up!」「Smile Rush!」と初アルバムを2枚同時リリースする女性6人組「HellоYоuth(ハローユース、略称ハロユス)」。芸能界入りを夢見ながらあきらめていた普通の少女たちを地元まで出向いてオーディションで選んだ、“会いに行けるアイドル”ならぬ“引っ張り出してきたアイドル”だ。

【写真】月に代わっておしおきよ!

 「長崎県は五島列島の福江島出身。AKBさんにあこがれて、親に黙って応募書類を出すだけだった。それがハロユスのオーディションは長崎市でやる。ちょうど長崎で大学入学試験があるタイミングで、ついでに受けることができました」

 こう話すのが花城玲奈(20)。テレビの中のキラキラした世界にあこがれる、どこにでもいる少女。歌や踊りのスクールどころか、メイクさえしたことがなかった。

 同じく長崎でオーディションを受けたのが諫早市出身の平松聖菜(16)。「陸上部の短距離をやりながらオーディションに応募する学生生活でした」。センターを務める佐賀県有田市出身の田仲笑茉(19)が説明する。

 「私も親に黙ってオーディションに応募してました。でも面接とか二次審査とか、たいてい東京じゃないですか。親に言ってなかったから行くわけにはいかない。1人で行く勇気もない。ハロユスは佐賀市でやってくれたから」

 モーニング娘。に始まり、AKBで拡大されたかに見えるアイドル枠。それは参加数が増えただけで、オーディションを勝ち抜くタフさは尋常ではない。大多数の普通の子は、昔も今も思春期のあこがれで終わる。だが「テレビの中」へ道順が示されたことで、距離は縮まった。ハードルをちょっと下げるだけで、少女たちは簡単にジャンプできる時代になった。

メンバーに共通する2つのキーワード

 6人に共通する言葉がある。「親の応援」と「地元の祭り愛」だ。福岡県でも都市部とは離れた行橋市出身の大島向葵(ひまわり、19)も「アイドルグループの一員として地元の祭りに出るのが夢だった」という。山笠、どんたく、くんちをはじめ、九州の祭りは燃え尽きるほどに激しい。偏在する火山のような爆発力が、九州人の魂にはある。それこそが家族ぐるみで芸能を志向する原動力ではあるまいか。

 東京を中心に、「子どもたちの夢」さえも平均化されつつある今。出向いて夢の実現を促すオーディションは、九州人のパッションを掘り起こす発明かもしれない。

 ◆HelloYouth 「LinQ(リンク)」に続き、自己の可能性を九州から全国に発信していくプロジェクトとして2019年7月29日、九州出身の6人で結成。サウンドプロデューサーは青春パンクのカリスマ「175ライダー」のISAKICK。