失敗を恐れず、人生を面白がって楽しむための“欽言”が詰まった著書の数々でも知られるコメディアンの萩本欽一(78)。新著では「マヌケ」の極意を指南している。著書に関わったコラムニストの石原壮一郎氏(56)が衰えぬ欽ちゃんの魅力を寄稿した。
今の日本や今の私たちに必要なのは、きっと「マヌケを許す心」です。他人のマヌケにも自分のマヌケにも、私たちは無駄に厳し過ぎるのではないでしょうか。
欽ちゃんこと、萩本欽一さんは最新刊『マヌケのすすめ』(ダイヤモンド社)で近ごろのギスギスした社会を嘆きつつ、こう言います。
「人間って、そんなにきちんとしてない。失敗もすれば怠けたいときもある。そういうのもひっくるめて『まあ、お互いたいしたもんじゃないから、できる範囲で真面目に頑張りましょう』っていう暗黙の了解があった」
自分のマヌケを受け入れ、他人のマヌケを大目に見ることができたら、毎日はずいぶん楽になるはず。反射的に「そんなことじゃいけない!」と思う人もいそうですが、考えてみたら、とくに困ることはありません。
光栄なことに、縁あってこの本を少しお手伝いしました。偉大なコメディアンである萩本欽一が語る「マヌケ論」「マヌケなコメディアン人生」「マヌケたちへの感謝」。面白いのはもちろん、目からうろこがボトボト落ちる内容でした。
何を隠そう私は、長年「大人力」についての探究を続けています。本書を通じて、究極の大人力は「マヌケ」に宿っていると気づきました。大人力が目指すのは、自分を肯定しつつ日々をノンキに歩いていくこと。つまり、マヌケな自分としてマヌケに生きていくことに他なりません。
「マヌケなほうが幸せな人生を送れる」
「マヌケであればあるほど運がたまる」
「損すれば損するほど得が返ってくる」
昨今の世知辛さにウンザリしていたり、自分のふがいなさを責めたくなったりしている人には、欽ちゃんの言葉がひときわ深くしみ込み、大いに励まされるでしょう。
コント55号と坂上二郎さん、パジャマ党、欽ちゃんファミリーをめぐる懐かしくもマヌケな秘話もいっぱい。新鮮な驚きを覚えつつ、時に涙腺を激しく刺激されます。
大人よ、マヌケを抱け! 今後の人生をもっとマヌケに、つまりはもっと気持ちよく生きていくための指標になってくれる本です。
萩本欽一さんが「マヌケ」の極意を指南 コラムニスト・石原氏「究極の“大人力”が宿っている」
引用元:夕刊フジ