「UUUM」は成長にかげり 動画配信にマネジメントは必要か

「UUUM」は成長にかげり 動画配信にマネジメントは必要か

 今や小学生の憧れの存在であるヒカキンや、はじめしゃちょーといった人気ユーチューバーには、MCN(マルチチャンネルネットワーク)と言われる所属事務所がある。その代表格が東証マザーズ上場のUUUMだ。しかし、ユーチューブ視聴者数の増加で右肩上がりのこの会社に異変が起こっているという。

「チャンネル登録者数で所属ユーチューバー上位4位に入る大食いユーチューバーの木下ゆうかさんが、突然UUUMを辞めました。トラブルで辞めたわけではないと発言していますが、テレビと違ってスマホ1台あれば撮影できる動画配信にそもそも事務所のサポートが必要かという話は以前からあり、広告収入の取り分がユーチューバーとUUUMで8:2という構造に不満を持っていたのではといわれています。UUUMの大株主でもあるヒカキンさんが辞めることは考えられませんが、このまま後続が出れば、業績に大きく響くでしょう」(経済誌記者)

 なぜなら、UUUMの売り上げは、半数以上を占めるアドセンス広告、つまり、動画で流れる広告収入に依存しているからだ。

「ただ、木下さんが辞める前からUUUMの成長にはかげりが見え始め、昨年末から株価は下落傾向にあります。再生回数の伸び鈍化と1再生あたりの単価の落ち込みなどが理由ですが、無名でもコンテンツを出し続ければ、莫大な収益が得られる“確変期”が終わろうとしているようです」(前出の経済誌記者)

 決算説明資料によると、動画再生回数はやや横ばいで伸びは鈍化。企業タイアップ、イベント収入などが増加傾向で、新規事業開発にも着手しているものの、アドセンス広告並みの収入源にはほど遠い。

 さらに、芸能人や有名人の参入も懸念材料だろう。すでに、オリラジの中田敦彦らお笑い芸人がユーチューブを主戦場にし、ホリエモンやボクシング亀田兄弟の父、亀田史郎氏、格闘家の朝倉兄弟、大リーガーダルビッシュ有らの動画も人気だ。当然、彼らはMCNに属していない。

「今後、俳優の参入が増えてくるでしょう。ゲームオタクで知られる本田翼のチャンネル登録者数はすでに150万人弱。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で沢尻エリカの代役となった川口春奈も、55万人(2月10日現在)を突破しました。芸人に比べて素顔が垣間見られない女優の動画は人気必至です。実際、芸能プロダクションでも動画制作の体制を整えているところもあります」(芸能プロダクション関係者)

 個人が自ら発信する機会が格段に増え、動画市場は今後も伸びていくものの、プロ参戦で競争はますます激化。「う~む」とうなるしかない状況をユーチューバー事務所は打開できるか。