全国書店で「追悼コーナー」続々…ノムさんの著書が多い“理由”とは

全国書店で「追悼コーナー」続々…ノムさんの著書が多い“理由”とは

 ◇野村克也さん死去(2020年2月11日)

 野村さんは100作以上の著書を発表。東京・三省堂書店神保町本店などこの日、急きょ追悼コーナーを設置する書店が全国で相次いだ。

 苦労と工夫の実体験を交えてつづったリーダー論や組織論は野球人だけでなくビジネスマンの胸にも深く刺さった。従来の野球本は専門的な内容だったのに対し、野村さんの本は啓発書として根強い人気を誇る。出版関係者は「野球人の著者では断トツの売り上げだろう。管理職の人たちにも愛読者が多い」と語る。09年には代名詞の「ぼやき」がユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選出。野村さんの「言葉力」が世間に支持されていることを証明した。

 本との出合いは77年に南海監督を解任されてから。師と仰ぐ評論家の草柳大蔵さんから読書を勧められ政治、歴史、文学などあらゆる分野の本を読むようになった。

 野村さんの著書が多い理由について、大手出版社の編集者は「常に情報をインプットし、引き出しが多い。切り口が豊富だから企画を持ち込みやすかった」と説明。00年代に著書を担当した編集者は「監督をしている時でも時間をつくってくれて、午後9時ごろから深夜まで連日打ち合わせ。“面倒だ”とかしょっちゅう憎まれ口を叩かれたが、もちろん愛のある冗談。毎回真剣に接してくれました」と出版社からの信頼が厚かったことも一因にあったとした。