絶やさぬ笑顔がトレードマーク!三船美佳、はじける芝居愛 「子供との会話にセリフを混ぜてみたり…」

引用元:夕刊フジ

 絶やさぬ笑顔がトレードマーク。この人が出演する番組、特にバラエティーは華やぐ。だから、そこが本人も一番落ち着く場所なのだろう、と思っていたが、そうではないようだ。

 「来年、子供も高校生になりますし、もう1回やってみたい、と」

 演技への熱い思い。“引き寄せ”の法則なのか、そんなことを考えていたら、ジャストタイミングで芝居のオファーがきた。

 お笑いコンビ「矢野・兵動」の兵動大樹と、落語家、桂吉弥がダブル主演する人気喜劇第2弾「はい!丸尾不動産です。~本日、家に化けて出ます~」。舞台への出演は15年ぶりとなる。

 「第1弾をプライベートで観覧して、『悩みがあっても、今、生かされているだけで幸せ』と教えられ、ふとした時に思い出し、励みになった作品です。話がきた時はそれはうれしくて」

 不動産会社の営業マン・菅谷(兵動)と、その客の林田(吉弥)に巻き起こる騒動を描く舞台。演じる林田の妻・早苗は、表向きは旦那を立てるが、本性は手のひらで転がす鬼嫁だ。

 二面性の使い分けもさることながら、「舞台って稽古で少しずつ肉付けしても本番で変化しますし、お客さんによっても変わります。そこが難しいですね、おもしろいところでもあるんですけど」。

 父は言わずとしれた戦後映画界の大スター、三船敏郎。物心つく前から芸能の世界へ、と見られがちだが、大スターも子供からすれば1人の「おとうちゃん」。映画の中での雄姿を見てもピンとこず、憧れのような感情もわいてこない。芸能への興味など皆無に近いなか、たまたまCMに出たことで視界は変わる。

 「1つの作品のために、大人が情熱を注ぐ姿を見て、涙が止まらなくて。カメラのフィルムがカラカラカラって音を出して回った瞬間、全身に血が駆け巡り、私、このお仕事に携わりたいって」

 ■父の台本のぞき

 映画デビュー作の「友情 Friendship」では白血病の少女になりきるため、スキンヘッドに挑んだ。「その人の人生を演じることで、病気を知らない人に何かを伝えられたら、と」。同時に“世界のミフネ”が芝居にかけた情熱にも気付いていく。

 「書斎にこもって台本を読む父の側によく座っていたのですが、台本をのぞくと、セリフがない行にも『目線は左下から右斜め上』『何秒かけて』とか、相手の心情を赤と青の色鉛筆で細かく書き込んであったり。芝居って、ちょっとした言葉尻、表情で伝わり方も変わります。何億通りとある感情を厳選して演じていたんでしょうね」

 十数年前、米国で何気なく観た舞台がいまも気になっている。観客わずか7人という寂しさだったが、日常の何気ない動作を微に入り細に入り完璧に演じるさまが忘れられない。そこに一歩でも近づきたい、と。

 「いま、洗濯やお皿を洗いながら、セリフを覚えているんですけど、子供との会話にセリフを混ぜてみたり。でも、見抜かれちゃう。まだまだですね」と肩をすくめてみせた。

 ポジティブ思考にみえても、本人に語らせると、実は真逆なのだそう。

 「悲しいと下がる口角を、わざと上げて笑顔を作ると、脳をダマせる…とある本で読んで。最初は自分でも気持ち悪っと思ったけど、楽になって本当の笑いに変わっていったんです」

 今年4月に再婚し、大阪で新たなスタートを切った。

 「関西のお笑いのテンポやノリって難しい。兵動さんと吉弥さんにたたき込んでもらわなくちゃ」

 今作は大阪公演のみだが、「家族も応援してくれているので、どんどん挑戦していきたい。あ、そうそう、(早苗の)甘える旦那(吉弥)さんが大好きなところは、私と似ていて、うちの夫婦にも合致しているんですっ」。そう言って弾けんばかりの笑顔を見せた。

 仕事も私生活もどんなことも、笑う門には福来たる…。(ペン・田中一毅/カメラ・恵守乾)

 ■三船美佳(みふね・みか) タレント、女優。1982年9月12日生まれ、37歳。東京都出身。97年にCM『明治乳業 アクア・ブルガリアクール』でデビュー。同年に大河ドラマ「毛利元就」に出演。98年の映画「友情 Friendship」で日本アカデミー賞新人俳優賞。舞台「恐怖時代」(2003年)や「恋の骨折り損?」(04年)でも活躍し、ABCテレビ「朝だ!生です旅サラダ」などに出演中。19年4月に3歳年上の一般男性と再婚した。環境問題にも熱心で「おばあちゃんになったら、イルカツアーのガイドをやりたい」。舞台「丸尾不動産」は11月30日から12月2日まで大阪・ABCホールで上演。