池松壮亮、キネ旬主演男優賞で30代の新たな誓い「映画が先に進めるよう精進」

引用元:映画.com
池松壮亮、キネ旬主演男優賞で30代の新たな誓い「映画が先に進めるよう精進」

 [映画.com ニュース] 第93回(2019年)キネマ旬報ベスト・テンの表彰式が2月11日、都内のホールで行われた。

 日本映画作品賞に輝いた「火口のふたり」の荒井晴彦監督は、これまで5度の脚本賞を受賞しており「41年前に神代辰巳と組んだ『赫い髪の女』は4位だった」など、これまで2~5位が続いた作品部門での順位を披歴。その上で「70歳を過ぎて、監督3本目、低予算のR18で裸の映画が1位でいいんでしょうか? キネ旬の審査員たちにありがとうと言いたい」と自嘲を交え喜びを語った。

 しかし、「ここでやめればいいけれど、映画がいいのに監督賞、脚本賞もらえなかった。白石と阪本に教わって、またこの場所に戻ってきたい」と、後方に座っていた日本映画監督賞の白石和彌、脚本賞の阪本順治両監督をけん制。同作のヒロインに抜てきされ、全編ほぼヌードの熱演で主演女優賞を射止めた瀧内公美は、「フリーになって初めて声をかけられた作品。荒井監督には『体をしならせるんだ』と言われ、毎日首と腰が痛くてシップを貼っていました」と振り返った。

 「宮本から君へ」で初の主演男優賞を獲得した池松は、「現場でたくさんの人にバトンをつないでもらった先のこの場であって、僕の力だけでは到底及ばなかった。皆で闘った日々の勲章としてもらい、池松から宮本へささげられたらと思う。今日はトロフィーを抱きしめて寝ると思う」と感慨深げ。今年は節目の30歳を迎え、「これからも映画が先に進めるよう、皆さんの生活が少しでも豊かになるため少しでも光を当てられるよう、この10年も日々精進していきます」と新たな誓いを立てた。

 「愛がなんだ」など5作品で助演男優賞の成田は、「カツベン!」でも主演部門の2位に入ったことを掲載誌で確認し「助演は断トツで、主演は差があった。まだまだですね」と苦笑い。「半世界」で、新人賞以来20年ぶりの受賞となる助演女優賞の池脇千鶴は「出番はあまり多くないのに、映画の神様は見ていてくれたんだな。とってもうれしいけれど、トロフィが重くて私は抱きしめて寝られない」と話し、会場の笑いを誘った。

 新人女優賞の関水渚は、デビュー作「町田くんの世界」を振り返り「悩み、苦しみ、人生の中で生きていると実感した1カ月でした。ひとつの目標は、朝ドラに出ることです」と意欲。「蜜蜂と遠雷」などで新人男優賞の鈴鹿央士は、「東京も、大人の世界も、芸能界も分からない中でいろいろなことを教えてもらい、少しは成長できたかな。今日は電車で帰るので、見かけたら写真はダメでサインもまだないけれど、握手くらいはできるので声をかけてください」と独特のコメントで会場を沸かせた。

第93回キネマ旬報ベスト・テンの各賞は以下の通り。
・日本映画作品賞:「火口のふたり」
・外国映画作品賞:「ジョーカー」
・外国映画監督賞:トッド・フィリップス
・読者選出外国映画作品賞:「ジョーカー」
・文化映画作品賞:「i 新聞記者ドキュメント」
・日本映画監督賞:白石和彌「ひとよ」「凪待ち」「麻雀放浪記2020」
・脚本賞・読者選出日本映画監督賞:阪本順治「半世界」
・主演女優賞:瀧内公美「火口のふたり」
・主演男優賞:池松壮亮「宮本から君へ」
・助演女優賞:池脇千鶴「半世界」
・助演男優賞:成田凌「愛がなんだ」「さよならくちびる」ほか
・新人女優賞:関水渚「町田くんの世界」
・新人男優賞:鈴鹿央士「蜜蜂と遠雷」「決算!忠臣蔵」
・特別賞:和田誠
・読者賞:ライムスター宇多丸、三沢和子