瀧内公美がキネ旬主演賞に声震わせる、池松壮亮は「宮本へ捧げたい」

引用元:映画ナタリー
瀧内公美がキネ旬主演賞に声震わせる、池松壮亮は「宮本へ捧げたい」

「2019年 第93回キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が本日2月11日、東京・文京シビックホールにて開催され、主演女優賞に輝いた瀧内公美と、主演男優賞を獲得した池松壮亮が登壇した。

【写真】左から荒井晴彦、瀧内公美。(メディアギャラリー他7件)

日本映画部門の第1位に輝いた、荒井晴彦の監督作「火口のふたり」でヒロインを演じた瀧内。「主演女優賞をいただけたことは本当に光栄です……とても緊張しています」と震える声で切り出し、「お世話になっていた事務所を退所してフリーになったとき、声を掛けていただいた作品が『火口のふたり』でした。もう1度女優としてやっていこうと、この作品に携わって思ったんです」と打ち明ける。

そして瀧内が「相手役を務めてくださった柄本佑さんをはじめ、スタッフの皆さん、いろんな人のおかげで今日があると思っています。この場に連れて来てくださった荒井さんに感謝しています」と後ろに座る荒井に視線を送ると、MCに促され荒井もステージ中央へ。演出について問われた荒井が「ベッドシーンは手取り足取りやりましたね。『もっと脚を反らせろ!』って」と笑いながら振り返ると、瀧内は「『しなるんだ、しならせるんだ!』って言われてました(笑)。毎日、首と腰に湿布を貼ってましたね」と回想。その言葉を受け、荒井は「あとは放し飼いでしたよ」と笑みをこぼした。

「宮本から君へ」での演技が高く評価され、主演男優賞受賞を果たした池松。「この映画を作るために一緒に闘った人たち、観てくださった方々に心から感謝しています」と真摯に述べ、「宮本というキャラクターは血だらけになりながら正しくないものに声を上げ続ける男です。周りに鼓舞されてなんとか演じ切ることができたと思っています。スタッフやキャストとともに闘った日々の勲章として、池松から宮本へこの重い賞を捧げたいです」とトロフィーを強く握りしめる。

続けて池松は「『宮本から君へ』がソフト化するにあたって、あるスタッフが怒って電話を掛けてきました。DVDやBlu-rayにするにはいろんな工程があるんですが、『日本映画はちゃんとやってない!』って言うんです」と回想。「そのとき、ふと思いました。『宮本から君へ』の現場はこうやって闘う“宮本”がたくさんいたなって。お金のなさやいろんな問題を理由にあきらめてしまおうとする自分たちと闘って、みんなで乗り越えてきたなって。そのバトンの先にこの場所があると思っています」と吐露した。そして最後に「2020年になりました。これからの10年、日々精進していきたいと思います。今日はトロフィーを抱きしめて寝ると思います」と喜びをあらわにした。

「キネマ旬報ベスト・テン」は、1924年度に当時の編集同人の投票によってベストテンを選定したことを発端とする映画賞。映画ナタリーでは、表彰式全体の様子を追ってレポートする。