見た目と裏腹…EXITは「コンプライアンスゴリ守り芸人」を自称

見た目と裏腹…EXITは「コンプライアンスゴリ守り芸人」を自称

【2020 新春「笑」芸人解体新書】#10

 チャラ男芸人のEXITにとって、昨年は怒涛の一年だった。一昨年に初めてテレビに出て以来、人気がどんどん増して一大ブームに発展していった。

 服装やしゃべり方はチャラいのに、介護とベビーシッターを経験していて実は真面目というギャップもウケる要因になっていた。

 昨年末にはパシフィコ横浜国立大ホールで単独ライブを行い、5000人を動員した。これは芸人の単独ライブとしては破格の規模である。闇営業問題でお笑い界と吉本興業が揺れている中で、吉本所属のEXITはそれをものともしない大活躍を見せていた。

 ただ、そんな彼らにも一度だけ危機が訪れた。「週刊文春」で兼近大樹(28)の犯罪歴が明かされたのだ。過去に女子高生の売春あっせんの容疑で逮捕されて罰金刑を受けたことと、現金1000万円が入った金庫を盗んだ疑いで逮捕されたことが報じられた。この報道を受けて、いくつかのイベントやテレビ出演の予定がキャンセルになった。

 記事の中で兼近は、犯罪歴が明るみに出たことについて「正直うれしかった」と語っていた。いずれ明らかになることなので自分から言いたいと思っていたのだが、所属事務所から口止めされていたため、公にすることができなかったのだという。

 相方のりんたろー。(33)はSNSで謝罪文を発表しながらも、その中で兼近のことを必死で擁護していた。

 未成年の女性の売春あっせんに携わっていたというのは、社会的にはそれほど軽い罪ではないようにも思えるのだが、ネット上では、兼近に対する同情的な声が目立っていた。EXITや兼近のファンの大半は、潔く罪を認めた本人の態度を高く評価していて、犯罪歴を暴き立てた週刊誌側の報道姿勢を強く批判した。

 彼らは2人とも根が真面目で「コンプライアンスゴリ守り芸人」を自称している。いずれも前のコンビの相方が不祥事を起こし、解散を余儀なくされた過去を持っている。彼らは元相方のトラブルで挫折を味わっている。だからこそ、ほかの芸人と比べても人一倍真面目な考え方になるのだろう。ファンの間では、そんな彼らの誠実な人柄が知られているため、この報道が出ても彼らを見捨てる人はほとんどいなかった。

 危機を乗り越えたチャラ男芸人は、五輪イヤーの2020年もお祭り気分で突っ走ってくれるだろう。 =おわり

(ラリー遠田)